財務経理と経営企画がこれまでに経験してきた主なキャリアですが、現在はこれまで未経験の小売業や駅ナカデベロッパーを営むグループ会社に出向し、短期・中期の経営計画やグループ再編などの経営企画業務及び社内システムやICTを活用した業務改革を企画推進する業務部門の責任者をしています。
きっかけは、7~8年前に遡りますが、初めて某ビジネススクールの単科に通い、社会人としての「学び」の重要性と楽しさを知るとともに、自身の「値札」の低さを改めて自覚したことでした。入社して20年余、体系的にビジネススキルを学んだことがなく、自分が成長していると思えない中で、社歴を重ねるにつれ、それなりに役職が上がり、部下を持つ立場になっていることに不安を覚えていました。そこで、ビジネススキルのベースとなる、論理的思考力や問題解決力を実戦で使えるまでしっかり身に付けるため、MBAのコースで学ぼうと考えました。MBAの学位を取得することが目的ではなく、力がついた結果としてあったらあったでいいくらいの感じで捉えていましたが、頑張る先にMBAがあることは、長期間勉強を継続していく上でとても励みになり、最終的にMBAを取得出来たことは、自身に充実感と達成感をもたらしてくれました。
大学院を選ぶ条件は、伝統的な教科書を学ぶスタイルではなく実際のビジネスに使えるカリキュラムが充実していること、ITを学ぶ講座が組み込まれていることを重視しました。特に、実際の企業の今ある問題を題材に問題解決力を鍛えるRTOCS(Real Time Online Case Study)と、大前学長秘伝のイノベーション講座(1単位科目にも関わらず、単科では56万円の値段がついており、本科に入ってこれを受けられるのはお得でした!)に惹かれました。通学には恵まれた東京在住であり、また意志の弱さには自信があったので(笑)、当初は通学タイプの大学院を探していましたが、仕事の状況から本科入学を1年先送りすることにしたため、その間単科生になってWeb通学が続けられるか試しました。その結果、Air Campus上での議論というインタラクティブな学習環境にすっかりハマり、これなら続けられると確信し、本科に入学しました。
学習を進める上で苦手としたのは、『問題解決思考』や『卒業研究』のように、長期にわたり、自分で計画を立てて一人でコツコツと進めていかねばならない科目でした。学習頻度にムラがあり、計画性のない性格と習慣が最後まで治らず苦労しました。克服したとは言えずお恥ずかしい話ですが、とにかく全ての提出物について期日までに提出しなければ、単位を取得することは出来ないので、最後は自分を追い込んで、徹夜しても、飲み会の後でも、とにかくやるしかなかったです。
色々あって一番を選ぶのは難しいですが、実際の起業家の話を聞く講義が一番タメになりました。中でも毎月25人×4ヶ月で合計100人の起業家の経験談や価値観を聞くことが出来る『起業家精神研究』という科目が、課題レポートの量も多くて大変でしたが、どうやって起業家は起業家になっていったのか?たくさんの起業家の生身の話を聞きながら、自分がビジネスを起こす際のミッションステイトメントが言語化できていった点において、特に印象に残る講義でした。
BBT大学院の教育を受けて感じたのは、本当に必要なのは、誰かに知識や正解を教えてもらうことではなく、自ら問いを設定し、そして自分なりの解を導き出すことです。BBT大学院では、たくさんの生きたビジネスの実例に触れながら、本質的な問題は何か?問題設定を自分で行い、多くの仲間と議論をしながら、最後は正解がないビジネスについて当事者として自分なりの結論を出すという訓練を多く行い、これが自身の血肉となりました。
私にとって年単位の期間は長期、かつ自分の得意な短期集中力の発揮期間を超えた期間でした。従って、何かを犠牲にすると続かなくなると思い、週末のアクティビティを少々我慢したもののあまり何事も犠牲にせず、無理せずマイペースでやり続けました。その結果、卒業までに5年もかかってしまいました。でも卒業式で大前学長が「通常より長い期間をかけて卒業する人もいるが、これからの社会ではマイペースでやるのが大事」とおっしゃって下さり、自分に向けて言ってくださったように聞こえてとても嬉しかったです。
PCの具合が悪くなったり、成果物の保存に失敗したりしたことが幾度かあって、作り直しを余儀なくされた時はショックでした。ITリテラシーの問題でもあり、効率的に使いこなせない自分にイライラし落胆しましたが、クラスメイトからは、無料で使える様々なテンプレートや作業効率化アプリを教えてもらい、とても助かりました。ITを如何に使いこなすかにより、人生が変わるほど差が出ることを痛感しました。
戦略と組織は車の両輪であり、戦略論とともに組織やリーダーシップについて多く学びました。その中で、リーダーの共通点は「人よりよく考えていることだ」という教授の言葉がありましたが、よく考え、議論した結果、「管理者」ではない「リーダー」に近づけたのではないかと思います。それまで自分がリーダーシップとも言えないと悩んでいた自身のスタイルも、サーバントリーダーシップという状況によっては有効なリーダーシップであったことがわかり、今ではメンバーの能力・意欲が十分にある場合は、「前に立って引っ張らない」「邪魔しない」リーダーシップスタイルを意識的に採って、人と組織のパフォーマンスを高めています。
今、世の中は100年に一度といわれる大きなパラダイムシフトの中にありますが、周囲に一歩先んじて大きな時代の変化を見通す力がついたことを、ここ5年の世の中に起こった変化の中で実感しています。それは人生観までをも変えることです。入学前に「BBT大学院で学ぶと人生観が変わる」というコメントを見たことがありましたが、正直そこまでは期待しておらず、使えるスキルが身に就けばと恩の字と考えていましたが、本当に価値観や人生観にまで変化が起こりました。
入学前は、起業なんて選択肢は自分の人生になく、サラリーマン人生を終えたら、あとはゆっくり余生を楽しむというイメージでしたが、生きている限り、自らの成長を志向して学び続け、できればビジネスで社会の幸福量を増やし続ける人生を送りたいと思っています。社会の幸福量を増やすビジネス(must)のうち、人生後半で自分がやりたいこと(will)は何かを探しながら、まだまだ出来ること(can)を増やすべく、面白そうだと思えるいろんなことにトライしていきたいです。
やらないことを決めるのが苦手で、タイムマネジメントが出来るようになったとはとても言えない私でも、何とかやり遂げることが出来ました。マイペースでも「継続は力なり」を実感しています。模範的な修了生でないからこそ、迷っている方の背中を押す一助になれば幸いです。