現在の会社に30年近く勤続しています。飲料・酒類のマーケティング部門で事業経営から商品開発・宣伝・流通政策・販促プロモーションまで一貫してマーケティングの範疇の仕事をやってきました。今年4月から関係会社の役員として、法人営業という自分にとって新たな領域の仕事をしています。
50歳になって「自分はそもそも世の中で通用するビジネスマンなのだろうか?」と思ったのが最初です。長く同じ会社にいたため、会社というプラットフォームの上では通用しても、世の中では通用しないのではないか?偏った知見・考え方になってしまっているのではないかという不安を抱いたことがきっかけです。また仮にあと25年働こうと思ったときに、今の会社にずっといられるわけでもなく、自分というブランドの価値を高め、どうせ働くなら社会に貢献できる仕事をしてみたいと考え、ビジネスマンとしてスキル・思考能力を再構築するために入学しようと思いました。他にも選択肢はありましたが、何か大きな目標をもたないと本気で取り組めないと考え、MBA取得を考えました。
家庭もあり、一定の収入は必要なため今すぐ転職・独立するつもりはありませんでした。今の会社を辞めずにMBAの学びを受けられる場を探していました。また、単に知識・理論を習得するのではなく、現在のリアルかつ実践的な学びを獲得したいと考えたときに、選択肢はBBT大学院しかありませんでした。
M&Aは実務で経験がなく不安でしたが、この大学院では普段の仕事ではできないことが体験できることが魅力です。つまり堂々と失敗して学べるチャンスだと思って取り組みました。AirCampusで他の学生やTAとやりとりすることで得られる知見は本を読んだだけでは得られない貴重な機会でした。
毎週のRTOCS(Real Time Online Case Study)は本当に自分の力になりました。2年間で100回の課題に取り組みましたが、自分が経営トップになった気分で自分の会社をどうすべきかと考える機会は初めてのことであり、またそれを通じて経営者ならばどう考えるべきかということについて体に叩き込まれた感があります。会社での実務においても非常に役に立ちました。毎週取り組むのは体力的にも時間的にも非常に厳しいですが、2年間やって間違いなく自分に力がついたことを実感できる内容でした。
この大学院は「教えない大学である」といわれましたが、確かに自分から求めていかなければ得るものは小さいと思います。例えばAirCampusにおける議論も自ら問題意識をもって参画するのと、ただ人の意見に対して追従するだけでは得られるものが全然違ってきます。いろんな世界で活躍されている方が集まる集団です。多様な考えを理解し、あるべき答えに向かって議論する過程で大きな学びを得ることができると思います。
正直バランスをとったとは言いがたいです。平日は会社の仕事以外はほぼ勉強漬けの日々、休日も睡眠と食事以外はほぼ勉強漬けになっていました。自分の場合、知らない知識がたくさんあったため、それをカバーするのに人より時間を消費してしまったように思います。1年次はなんとか頑張れましたが、2年次になると体調を崩したりしてヨレヨレになりながら何とか2年で卒業できたというのが実際です。
いつでも学べるというのは、裏返すとメリハリがつかなくなるということでもあります。週次の計画をキチンと立てないと一週間終わって何をやっていたんだろうということになります。また、できなかったことを翌週延ばしにすると後で厳しいことになります。選択と集中ではありませんが、「今週これだけはやりきる」ということを明確にして、それを必ず時間内にやりきる(答えを出す)ということがポイントではないかと思います。
学長講義・問題発見・問題解決での学びは実務においてもしばしば活用できることがありました。会社において、経営トップならどう考える?とか目先の問題を解決するだけでなく、本質的な問題は何か?どう解決するか?といったように考えられるようになりました。必ずしも正解にたどり着けるわけではありませんが、近視眼的に問題解決に取り組むのではなく、高い視座にたって問題を俯瞰するクセが身についたと(自分では)思っています。
以前より視座が高くなったこと、多様な考え方ができるようになったこと、加えて市場が過去の事例が通用しない程、恐ろしいスピードで変質しているということを学ぶことができました。入学時にはより高い論理力を身につけたいとか、ファイナンスを扱えるようになりたいとかスキルを中心に考えていましたが、今はそれを前提に常に学ぶ姿勢を持ち続けること、問題解決に取り組む姿勢を持ち続けることが重要であると思うようになりました。
「日本発世界ブランド」を作りたい。具体的には日本の伝統酒類や工芸品をブランド化するビジネスに携わりたいと考えています。同時にその知見を人に伝える・教える仕事をしたいと考えています。日本のアイデンティティーと呼べる産業を単なる伝統と格式だけで後世に伝えるのではなく、現代でも有用な価値を持つものに変革し、後世に伝えることができればいいと思っています。
はっきりいって生半可な気持ちでは続かないと思います。また自分がどれだけ学びたいかという意志の強さで得られるものも変わってくる大学院だと思います。よって頑張った分だけ得られた学びは一生の財産になるのではないかと思います。MBAを志す目的は人それぞれあると思いますが、自分を変えたい、レベルアップしたいという気持ちを強くもっていれば、ここでの経験・学びは他では得られないものだと思います。