1999年に現在の職場に就職して以来、主に研究開発に従事しております。業務では研究室で実験をしているだけではなく、海外の顧客・コンソーシアム・事業所などとの共同開発や打ち合わせ、それに伴う数週間~数か月にわたる海外出張も何度もこなしてきました。業務を続けながら2010年秋に社会人博士課程を修了し、2011年春にBBT大学院のグローバリゼーション専攻に入学いたしました。
大前学長の著書は私が10代の時から読んでおり、いつか大前学長のもとで学びたい、また、学長のように世界で活躍できる経営者になりたいという願望を持っていました。博士課程修了を機に今がチャンスと考え、ストライクゾーンど真ん中を狙って動いた結果がBBT大学院のグローバリゼーション専攻でした。
先に述べたように、大前学長のもとで学べるというのが第一の理由です。 また、国内外の長期出張が多いので、いつでもどこでも学べるBBT大学院はまさに最適でした。 仕事を辞めて海外のMBAに行ったり、夜間や週末に他の大学院に通うということは、自分の興味だけではなく、経済状況・居住地などの観点からも選択肢から外れました。
暗記が苦手なので、多数の単語が出てきた「マーケティング概論」で最初に躓きました。グループワークでクラスメート4人とアイスクリームショップのマーケティング戦略を考える中で、単語の概念を実践的なスキルに転換できるようになりました。
大前学長の担当科目で取り組むオリジナルのケース・メソッド「RTOCS(Real Time Online Case Study」です。学長が毎週、実在する企業の経営者(稀に政治家)になり戦略を考えるようにお題を出します。1週間で情報を集め、クラスメートとディスカッションし、自分なりの戦略を提出します。日曜日の夜に学長が考える戦略を講義で放映してくださいます。それに対して振り返りを提出します。このプロセスを2年間で96回行いました。
RTOCSでは先に述べたマーケティングだけではなく、問題解決・会計・リーダーシップなどBBT大学院で学んだ内容を、お題がしまむら・ワークマン・ニトリなどの身近な企業である時は店舗視察で得られた情報を、時には自分の得意な技術知識などの要素も含めて打ち手を考えなければなりませんので、あらゆるものの集大成的な場として活用できます。さらに、自分が今まで知らなかった業界・企業についても詳しくなります。
ここで身につけたすべてのスキルや情報が業務や日常生活に活きています。
BBT大学院には教授陣・TA(Teaching Assistant)・クラスメートにいわゆる研究者がいないので、学問ではなく実務に結び付いたことを学べます。また、様々な業種から様々な人が集っているので、職場だけでは得られない多くの学びがあります。 時間と発言機会の限られた通学制度と異なり、AirCampusを使った遠隔教育は受講・発言・議論の機会を無限に提供してくれます。クラスメート、時には教授やTAと、AirCampusだけではなくFacebookや飲み会などで会ってワイワイやったりすることができたのも、とても良かったですね。
学部時代に勉強・遊び・部活・バイトのバランスを取ろうとして全て中途半端になり、自分は器用ではないということを学びました。その時の反省を踏まえ、2年間は意図的にバランスを壊してBBT大学院での学びを重点的に行いました。
具体的には、2年間、ほぼすべての週末は自宅に缶詰でした。家族との泊りがけの旅行はBBT大学院のスケジュールで余裕がありそうな時に2回行っただけです。長期出張の時は夜は飲みに行かず、週末はホテルに缶詰めでした。 しかし、こういった修行の時間を過ごすことで、成長できたと思います。たとえば欧州出張中に次の2つの出来事がありました。田舎町のバス停で出会った上海人に尖閣諸島に対する見解をいきなり聞かれたことがきっかけで仲良くなり、一緒に食事をし、彼に対する「日本代表」として国の相互理解を深めました。また、友人のリヒテンシュタイン人学生にバーゼルの街を案内してもらった時、ライン川沿岸の産業の歴史、化学・製薬業界の情報、スイスの教育事情などを大前研一アワーを介して知っていたので、関連した話をいろいろ聞けました。このように、少ないチャンスを濃く楽しむことができるようになり、今までと違う次元でバランスが取れるようになってきました。
この環境を提供してくれ、理解をしてくれた家族に感謝をしています。また、学習時間を確保するにあたり、業務には全く支障は出ませんでした。バランスを壊したといっても、最低限のバランスは取れていたと考えています。
インターネット通信環境が悪い時に学習効率が極端に落ちることです。 特に、海外では通信環境が悪いところがあります。
グローバリゼーション専攻では、1年次にPEGLという英語の講座を任意で受講できます。講座修了には長時間のネット接続が必要な課題提出を求められていました。講座終了間近の3月に駆け込みで課題を提出する必要がありましたが、滞在していた安宿では接続が悪く、歩いて10分ほどの高級ホテルのロビーのネットを使わさせてもらったことがありました。ソファーで5~6時間続けてやったので首が痛くなりました。
また、あるホテルではサウナ部屋に公共の無線LANが一番よく届いていることを発見しました。サウナ部屋には机がなかったので、更衣スペースにあった花瓶棚から花瓶を移動して、棚を机代わりにして、立ちっぱなしで4時間RTOCSをやったりしました。
このように、ネットがつながらないことによる苦労は生じますが、何らかの解は見つかるものです。こういった問題解決も、BBT大学院がくれた課題の一つと割り切って取り組んでいました。
英語に関してはBroken EnglishのNative speakerという意識を持ってやりましたので、なんとかなりました。百時間程度の英語の講義を聴き、何冊もの課題本や論文を読み、何千ものクラスメートの英文の投稿を読み、何百回も英文で投稿し、何十回も課題のレポートを提出すれば、嫌でも身についていきます。
入学すると同時に、否が応でも毎日朝から晩までどうやって勉強時間を捻出するかを考え続けることになります。その結果、仕事が早くなり、取捨選択もはっきりできるようになりました。
また、学んだことが即実践で使えます。たとえば 「Dynamic Presentation」という科目を受講することで、わかりやすく要点を突いた説明ができるようになりました。最初に目的と対象とメッセージの基本要素、それにしたがうWIIFY、Roadmap、Intro、Body、Call to actionを作成し、そのあとに必要に応じてプレゼン資料を作成するようになりました。
「KFS of Foreign Managers in Japanese Corporations Overseas」では日本企業の海外現地法人に勤務する現地労働者の生の声を多数聞けます。日本人は語学が下手でも現地の人とコミュニケーションを一生懸命とるべきという彼らの意見は、私の海外でのコミュニケーションにおける心の支え、根拠になっています。 「大前研一LIVE」や「ビジネスエシックス」などで学べる社会問題の見方は日常会話の幅を大きく広げてくれました。
問題発見>解の立案>意思決定>組織行動の流れを意識して、仕事・プライベートかかわらず、日常の様々な出来事に取組むようになりました。理想論や「べき」論を掲げるだけで最後の行動まで落とし込めないような無責任な打ち手は使えない、現実的ではないということを十分理解するようになっています。
たとえば、業務である機械を作るとします。その場合、先に述べた流れの中で、現状自分たちはどこにいるのか、ここで必要なものは何か、自分ができることは何かということを考えます。現場にいると、その機械をつくる目的の共有化が図れていないために皆のモチベーションが上がっておらず業務が停滞している、などということが見えてきます。その時には、キーとなる同僚が作業着を着て道具を運ぶ機会などは問題解決のチャンスです。一緒に道具を運びながら同じ方向に体が向いている時に目的を説明すると「ああ、今重い思いをしているのはそういうことなんだ」という合意が得られて、その後の全ての作業が進むようになったりします。これは例えですが、実際に似たようなことは経験しました。
世界で活躍できる経営者になるのが目標です。そのために、現在の業務を使って業務遂行のスキルを高めることと、継続的に業務以外から学び続けてスキルを高めること、健康の維持管理の3つを継続的に行っていきます。 継続的な努力に使うツールとしては、RTOCSを今後も活用し続けます。 また、こういった気持ちをドライブするものとして、自分は大前道場で学び切ったんだ、という誇りを大切にしていきます。
BBT大学院は、AirCampusを使った遠隔教育という特徴を生かし、リスクを最小限に抑えながら、実務に役立つスキルを身に着ける機会を無限に提供してくれます。ぜひとも入学してBBT大学院を存分に活用し、将来の可能性を広げてください。