入学当時は、鉄鋼商社のメキシコ現地法人に出向しておりました。自動車部品メーカー向けの加工拠点の立ち上げに従事し、営業部、業務部及び、経理・財務、人事・総務、システムを管掌する経営管理部を統括する立場で、会社設立から立ち上げまでの一連の業務を担当していました。学生時代からの「海外で事業会社を立ち上げたい」という志望動機を実現しながら、これ以上ないほどの充実感を味わいました。帰任後は、経営企画部に所属し、百社近いグループ連結子会社の経営基盤整備、新規事業開発、中期経営計画策定にBBT大学院の学びを活かしています。
「海外で事業会社を立ち上げたい」という学生時代からの商社志望動機を実現できたことで、次の目標を探し始めるようになりました。当時、人生も社会人としても折り返し地点となる、40歳を過ぎ、残りの人生を何に注ぎ込んでいきたいのか、社会とどのように関わり、どんな貢献ができるのか、自らの存在意義は何か?という、「社会に対して意義のある製品やサービスを生み出すこと」を意識するようになっていました。そして、変化のスピードが加速度的に増している現在において、その確率を上げていくためには、社会で起こっている事実とその全体的な構造を理解すること、そして、それらの本質を捉え、自ら考えて判断して未来を切り拓いていく構想力、諦めない実行力など、ビジネスを推進する知力や体力、人間力を身につけることだと考えました。それがBBT大学院のプログラムだったのです。(MBA取得は目的ではありませんでした。)
唯一無二の教育メソッドであり、今まさに起きている現在進行形の企業の経営課題や社会の問題を、自らがその責任者の立場に立って分析し、本質的な解決策を導き出していくRTOCS(Real Time Online Case Study)を通じて、自身を鍛錬させたいと考えたためです。MBA取得よりもむしろ、第一線で活躍されている、一流の実務家を講師陣に擁し、多様なバックボーンを持つ他院生と議論を活性化させながら、理論と実践を融合させ、自身を鍛錬させることが、これからの人生において掛け替えのない意味を持つと考えました。また、海外駐在員であっても距離・時差など物理的な障害を感じることのないオンラン学習がベースであったことも決め手となりました。
仕事上で、実務として子会社経営管理、事業投資、事業会社の立ち上げなど広範な業務に携わってきたこともあり、どの科目も苦にはならず、実務で学んできたことが体系的に整理されていく感覚があり、都度知的好奇心を駆り立てられました。ただ、本質的な問題を捉え、課題を設定していく、体系立てられた『問題解決思考』は初めての取り組みで、最初は取っつきにくい印象がありましたが、自分なりに整理しながらクラスメイトとの議論を重ねることで、理解を深めることができたのではないかと思います。
数日単位で新商品を提案していく『イノベーション』が非常にきつかったですが、発想のアプローチ方法を学ぶことで「画期的な商品アイディアを生むのは非凡な人」という自身の先入観が覆され、誰もがアイディアを生み出すことができるようになることを実感しました。これからも継続してトレーニングしていくことが必要ですが、大きなアドバンテージに繋がっていると感じています。
コアとなるRTOCSがあって、そのRTOCSを支える各履修科目がある。そして、履修科目間での相互関係もあり、その考え尽くされたプログラムに唸りながら学びを進めてきました。極めつけは、フィールドワークを通じて手足を動かしながら仮説検証を行っていく、実践的な演習である卒業研究。これまでの学びが血肉化され、身体で覚えるようになりました。1年次は成長の実感を持てずにいましたが、2年次中盤から感じることができるようになりました。
海外で生活していると、日本では想像できないようなことが起こります。家族・仕事上で突破的なことが起こっても課題進捗に極力影響が出ないように、家族が起床する前・出勤する前までに、一つでも二つでも課題を終わらせておこうと、平日も休日も4時起きの朝型の生活を送ってきました。ただ、それでも、家族・仕事とのバランスは難しく、妻をはじめ周囲には大変な無理をさせてしまったと思っています。遊びたい盛りの娘との時間や、同僚のメキシコ人とのアフターファイブのコミュニケーションの機会が減ってしまっていると、学びの傍らで大きな犠牲を払っているという自覚がありました。だからこそ、絶対に2年で卒業しようと思ってきましたが、一方で、際限なく学びに時間を注ぐことも一つですが、2年次からは時間を決め、その中で最大限のアウトプットを出すことを心掛けるようになりました。
ギリギリのタイムマネジメントが毎週求められたこと。一息付けるのは、文字通り、RTOCS提出期日の日曜夜8時から、次のRTOCSのテーマが発表される22時半までの2時間半のみ。寝食・仕事以外の時間全て、学ぶ時間に替わっていきました。最も忙しい時期は寝る間を惜しみ、3時間睡眠で、兎にも角にも、きつかったですが、同時に知的好奇心を駆り立てられ、毎日がエキサイティングでもありました。
毎週毎週多くの課題をこなしながら、2年を通じて自らのキャパシティーがストレッチされていきました。それは、やがて自らの作業時間を見積もることができるようになり、限られた時間の中でも、物事を冷静に俯瞰し、優先順位と手順を定め、やるべきことに時間を配分することができるようになったと思います。これまでは時間が無くなってくると、ショートカットし、投げやりな対応をしてきましたが、最後まで踏ん張れるようになったのではないかと思います。
まだまだではありますが、毎週のRTOCSを通じて物事を構造的に捉える力がつき、そして、何より、自社の経営陣の前でも、客先のお偉い方々を前にしても、物怖じすることがなくなりました。卒業研究では、全く想定していなかった学長プレゼンに選抜頂き、その事前準備を通じ、また、これからの人生でも、おそらくこれ以上ないほどの緊張感を経験し、これまで苦手意識のあったプレゼンを克服でき、一皮も二皮も向けた実感がありました。立案した新規事業を評価頂けたことで、自分の足で歩いていける自信を付けることができました。
どのような形であれ、生きている以上、社会が抱える問題を解決していくことに貢献していきたいと思います。そして、持続的な仕組みを創り上げていくにあたって、多くの時間と犠牲を払いながらBBT大学院で学んだことを活かしていければ、最高に幸せだと思います。
私は、以前からBBTのプログラムに興味を持っていました。しかし、春期・秋期の募集がかけられる度に都度見送っていました。やり切れる自信がなかったのです。しかし、ある時、このまま、ズルズルと見送り続け、いつしか検討していたことも忘れていくんだろうなと思った時、一度きりの人生を豊かに生きたい!今だ!と思ったのです。説明会では、1週間に25時間は勉強時間を確保してくださいと言われ、拒絶反応を示していましたが、入学後一ヶ月目に25時間を超え、30時間、40時間、最も忙しいときは60時間捻出していました。平均40時間とすると、2年間は104週ですから、約4,000時間もの時間を投入したことになります。これだけもの時間を投入した先に何があるのか?それは、入学前に見えていたものとは全く異なる世界でした。BBT大学院で得られるものがご自身の目標に適うものならば、ご自身の心の気づきを是非大切にして頂きたいです。