私は現在、不動産仲介会社の総務部で総務全般・人事・採用などを担当しております。担当業務は全てにおいて人とのかかわりが重要であり、問題に対しただ単に自分が考えた施策を押し付けるだけでは成果に結びつかないという点に難しさを感じています。目の前の問題の全体像や影響を自分のこととして理解させ、納得感を持って主体的に解決に取り組む状態を作り出すには総合的なコミュニケーション能力が欠かせません。
入学時は入社5年目で、当時は賃貸マンションの営業・広告戦略の立案および実行を担当業務としていました。入社から日を重ねるごとに、知識・経験の積み上げにより仕事の質・スピードは上がっていたし、取引先との付き合いが長くなることでスムーズに事が運ぶようにはなっていましたが、同時に成長の鈍化や限界を感じるようになっていました。日常業務の延長線上には目指すものはないであろうという思いから、このままでは自分が触れることのない幅広い知見を得るためにMBA取得を考えました。
第一に当時の勤務状況の制約をクリアできることが重要でした。深夜残業が多く、決められた時間に決められた場所で受講することが不可能だったからです。BBT大学院はクラスメート同士や教授との異なる時間軸を問題にせず勉強できる環境があります。次いで学べる内容と教授方の魅力度が決め手となりました。教科書に書いてあるようなアカデミックな学問を学びたかったのではなく、求めていたのは使える実学だったからです。
「コーポレート・ファイナンス」、「アカウンティング」など、それまで自分が業務として関わったことがない分野には苦労しました。発言をしないと単位も取れないのですが、土地勘がないためになかなか発言もできませんでした。そのような科目では積極的に質問をすることで克服しました。教授やTA(Teaching Assistant)はもちろん、クラスメートは様々な分野で活躍している方々なので、どんな科目でもその分野に精通した人がわかりやすく説明してくれました。
ひとつだけ選ぶとしたら「問題発見思考」です。この科目では考え方そのものを学ぶことができました。この思考はOSのようなもので、マーケティングやアカウンティングなどの知識もこの考え方のベースの上で使って初めて意味を持つものだと思っています。それだけに受講期間も約1年間と長く、じっくりと身に付けることが出来ます。
ほとんどの科目が実践的ですぐに使える内容であったと思います。またアルムナイに入会すると過去に履修した講義や、スケジュールの都合で履修出来なかった科目を受講することが出来るのが非常に気に入っています。履修時にはあまりピンと来なかった、組織・人事系の科目が今になってとても役立っています。
家族には2年間仕事と勉強で忙しい時期を過ごすことになることを説明した上で協力をお願いしました。そのかわり卒業できても出来なくても大学院在籍は2年間と決めていました。そのため初めから、3要素を器用にバランスさせようという気はあまりなく、限られた期間は仕事と勉強に集中し、自分の時間を全て使わせてもらいました。
仕事と勉強の両立です。特に仕事の繁忙期と、複数科目のレポートや試験が重なった時は何日か徹夜が続いたこともありました。乗り切れた理由は、2年間でやりきると最初に決めていたことが大きいと思います。仮に2年間で卒業出来なければ退学するつもりでいましたので、集中力が持ちました。
入学して1ヶ月も経った頃には、学んだことを活かせていると実感できました。当時は立案した営業計画を実行しながら、マーケットで起こっていることを発注者である事業主にレポートしていましたが、日々現場から拾い上げてくる様々なファクトを積み上げて「要は何か?」を的確に表現することができるようになりました。またその状況に対して、説得力を持った提案をできるようになったと感じ、受講が楽しみになったことを覚えています。
一番の変化は視野が広がったことだと思います。日常でも興味の範囲が広がり、様々なものが目に入ってくるようになりました。また、ある事象を見る目が客観的になりより多面的な見方ができるようになったと感じています。
将来的には人口減少や高齢化など、社会の問題を解決することに自分の知識・経験・時間を役立てたいと考えるようになりました。特に、世界で最も高齢化が進む日本において、その有効な解決策を見出すことは、日本のみならず世界への貢献にもつながる有意義なテーマです。
Better late than never. まずは一歩踏み出すことをお勧めします。もちろんハードな毎日が待っていますが、そこに飛び込むこと自体に価値があると思います。