入社してから一貫して完成品の海外営業を担当してきており、入学したタイミングは中国(北京)の駐在が5年目に入ったところでした。 お陰さまで、海外の現場という意味では平均的な会社員よりも多くの経験を積んできましたが、我流の書籍読み漁りと我流の実践のみが、自身のマーケティングのベースでしたので、何処となくこれでいいのか、という不安がいつもつきまとっていたのかもしれません。そこで「体系的」に学べるというBBT大学院の誘い文句はとても心に響きました。
また、入学した時点で既に45才だったのですが、リタイア迄の時間を逆算し始めた頃でもあったので、全力で走り抜けられる最後の10年(?)のための充電という意味合いも強かったです。
入学前から学長を慕っていた多くの学友と違って、私とBBTとの出会いは偶然に近いものでした。出張中の上海で入った日本式居酒屋のフリーペーパーの紙面で、BBT大学院の広告を見てしまったので、つい、その気になってしまいました。海外に暮らす者にとって、オンラインでMBAを取得できるというのは何とも有り難いオファーだったからです。さらに偶然、知人にも先行してBBT大学院に入学していた方がいることがわかって話を聞く機会を得てしまったので、これはもう強い縁を感ぜずにはいられませんでした。
海外駐在員としては、オンラインであることは絶対の条件でした。さらに、自身のこれまでの経験を体系化するという目的達成のためには「グローバリゼーション専攻」があることは大きな魅力でした。
苦手というのとは少し違うかも知れませんが、大前学長が担当する科目で取り組むオリジナルのケース・メソッド「RTOCS(Real Time Online Case Study)」はやはり一番苦労しました。特に聞いたこともない、全くの畑違いの業界についてのディスカッションには、「発言しない者は参加していないのと同じ」という暗黙の了解からのプレッシャーも手伝って、当初は相当いら立ったのを覚えています。
また、克服というのとも違うかもしれませんが、わからないことはオンライン上で、クラスメイトに聞いてしまう、というのが私の転換点でした。何を聞いたらいいのかすらわからない、という状態からでも優しく教えてくれる仲間がいて、「ここのスレッドをまず読んでから、AやBをキーワードとして検索するといい」等々と説明してくれるのです。実は多くの場合、私に教えてくれる仲間の多くは私よりも一回り近く若い方たちなので、実際の環境ではなかなかお目にかかれない状況なのです。克服のポイントは、恥ずかしがらずに現実の自分の姿をさらけ出すことだったかもしれません。
RTOCSはもちろんですが、2年時にやった「Communication Skills for the Global Marketplace」は「目から鱗」ものの内容でした。日本人は英語ができないから海外で戦えない、という変な思い込みは吹っ飛び、英語という言語以上にわかっていないものがこんなにもあるのか、ということが知れたことで、自分の経験の一つ一つが体系化されていくような感覚を覚え、とても快適な気分を味わえました。
本音をいえば、2年で終わってホッとした気持ちの方が強いです。というのは、この2年間は自由になる時間がそれまでの生活に比べて本当に少なくなったからです。よく先輩方々も「学んだ講義内容よりも先ずタイムマネジメントを体得したのが一番の学びだ」と言われているのを目にしますが、私もそれをまさに実感しているところです。この2年間は常に睡眠を削り、効率を考え、気が張っていたような気がします。暫く小説を読んだり、映画をみたり、振り子を逆に振ってみようかと思いますが、自身の振り子の幅は確実に以前より大きくなった気がしています。
バランスは完全に崩れました。生活もかなりいびつになりました。ただ、私は人生の一時期ならそれも良いのではないかと考えています。生涯このペースで過ごす強者もクラスメイトにはおりますが、私はこの負荷を2年に集中させて終えることで、残りの長い人生の中でバランスを取らせる方法を選択しました。
お金の工面です。40代の社会人である私は同時に3人の子どもの保護者でもあります。子どもが進級・進学を進める度に掛かる経済的負荷が増してきます。我が子は可愛いし、自分のやりたいことのために子ども達に我慢をさせたくないという躊躇は多かれ少なかれあると思います。家計のやりくりと相談した結果、入学を諦める方もきっと沢山いらっしゃるだろうと思います。「夢」といえば格好いいですが、「わがまま」とも言えます。それでも、私はBBT大学院に入学して、完遂することができて良かったと今では思っています。
BBT大学院で学んだ経験は自分に大きな自信を与えてくれました。そこでMBAを取得したこのタイミングで転職することを決め、今は就職活動を行っています。業界を全く変えてでも、自分がこれまで核として磨いてきたグローバリゼーションを軸に天職に巡り合いたいと考えています。さらに、BBT大学院で学ぶ中で獲得できた人達とのつながりは、最適な仕事を探している私にいろいろな角度からの助言を与えてくれる何ものにも代え難い財産になりました。
BBT大学院でのMBAを獲得するために、私はいろいろなものを犠牲にした気がしています。失ったものを取り戻すのはこれからなので、現時点では人に誇れる変化は何もないですが、これからは少しずつ良い変化を形にしていこうかなと思っています。 何れにせよ、これまでの自分のキャリアは敷かれたレールの上を歩んで行っていたのに対して、今はレール自体を敷くところから自分でやっている、また、それが出来ているような気がしています。これは良い変化だと思います。
グローバルな環境でのマーケターというのが自分の軸ですから、それを実践していく延長線上で「穏やかな人間」になりたいです。ケーススタディや実際の経験を通じて、これまで色々なタイプの経営者を見てきましたが、やはり経営者に必要なものは人徳だという思いをますます強く持つようになりました。社会人のゴールとしてそんな人徳ある人間になれたら素敵だと思います。
一歩踏み出す、という行為はとても勇気が要ったり、難しいことのようによく言われていますが、結構簡単なことですよ。やって無理そうだと思ったら止めればいいんですから。「やらずに後悔するより、やって後悔する方がいい」の精神を実践している私は、まず始めてみていつの間にかゴールまで辿り付いてしまいました。迷っていらっしゃる方が居るとすれば、Why not join us? ですね。