大学を卒業後、現在の勤務先に入社しました。
不動産仲介のリテール営業業務、人事業務(総合職採用業務、給与・考課・年金等の制度改定業務)を経て、現在は、全社の情報システム及び社内規定類の新規整備・改訂・運用管理を担当するセクションの責任者を務めています。
私の勤務先は新たな提案や挑戦を歓迎してくれる会社なので、入社以来、常に「こんなプロジェクトを立ち上げたい」「このレベルに挑戦したい」と、チャレンジし続けることができました。その時々で、自分のミッションや課題に精一杯取り組むことで、毎日仕事を楽しんでいましたし、またやりがいも感じていました。しかし、「がむしゃらに仕事をやっているだけでは学べるものが限られてきていて、自分の成長が鈍化しているのではないか。」と感じるようになりました。
新たなチャレンジングな何かを見つけ、自分自身が成長し、ジャンプアップするための刺激を得たい。それには転職や起業という選択肢もあったかもしれません。しかし、当時の私は、社外の同年代・同ポストの人たちとの間で、ビジネスに関するディスカッションを行うことを通じて、自分のスキルを棚卸ししながら、自分自身の課題を発見し、そこを埋めていきたいと考え、大学院進学を決めました。
仕事のペースを落とすことなく学びたいと思っていた私にとって、遠隔教育システムは大学院選択の大きなポイントになりました。
遠隔教育システムというと、よくある講義ビデオだけを受講するe-learningなどを想起される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、2年間の課程では約100回のケーススタディを行い、毎週、「自分が○○(会社)の社長なら、この局面をどう認識し、どう解決するか」をアウトプットすることが求められます。私は毎回のケーススタディにおいて、事実を徹底的に調査、論理形成し、自信を持って答えを出すことに、誰よりもこだわってきたと自負しています。それでも、しばしばクラスメイトや教員から厳しく、鋭い指摘を受けます。無論、私からも指摘をしますが、そういう議論の応酬をするようになって、初めて自分の限界にチャレンジし、新たな可能性に近づいているということが実感でき、本当に楽しくなりました。
特に苦手意識の強かった科目があったわけではありませんが、新たなことを学ぶために入学をしたわけなので、すべての講座で「うわ、知らないことだらけだ」「自分の視点・視座、スキルにはこんなにも偏りがあったのか」という気付きが非常に多かったです。
その習得のために講義や書籍を何度も振り返ったほか、積極的にディスカッションに加わって、仮に理解が間違っていてもoutputし続けていくことで、習得の効率は飛躍的に高まっていったと思います。(BBTでの恥はかき捨てと、勝手に割り切っていました)
科目でいえば、「企業再生論」(余語さん)、「企業変革」(宇田さん)の2科目です。問題を発見し、解決策を立案することに目が行ってしまいがちですが、その解決策を遂行していくことの重要性を再認識できました。講座を通じて、お二方の赤裸々な成功・失敗事例について、クラスメイトとディスカッションを行うことで、そのノウハウ・ドゥハウを体得できることが特長です。
また、科目ではありませんが、2年間を通じて行われる毎週のケーススタディは、他の科目で学んだばかりの知識や、分析・思考力を、その週のうちにフルに駆使し、実践を通じて血肉にしていくことのできる機会でした。問題を定義し、解決の方向性と具体的施策を取りまとめる力を徹底的に鍛錬できたと実感しています。
他の項目で記載している通りです。
仕事のペースを落とすことなく学びに励むためには、妻の理解が必要不可欠でした。
特に私の場合は、必ずしも要領が良いわけではありませんので、隙間時間の学習ではなく、如何にまとまった時間を確保するか、というのが大事なポイントでしたから、週末のいずれか終日を勉強時間に充てていました。
大学院へのチャレンジを検討していた時、私の背中を最後に押してくれ、また、在学中の2年間本当によく支援をしてもらいました。妻に頭が上がりません。(笑)
社会人が働きながら学ぶのは、かなり大変なことです。仕事のみならず、家庭や趣味などプライベートの時間とのバランスのとり方も含め、在学中の2年間は本当に苦労しました。
しかしながら、自分の過去の職務経験ではなく、仕事を通じて今まさに取り組んでいる課題を意識しながら学ぶことができる、また、学んだことを実際に活用してみて、これまでの仕事の取り組みと異なる成果を体感できるのは、仕事を続けながら学んでいたからこそであったと思います。もし休職していたら、絵空事のように、あるいは批評家のように「会社の経営とは」と論じていたかもしれません。その意味で働きながら学ぶ意義は大きかったと思います(大変であることに変わりはないのですが)。
大前学長をはじめ、ほかの教授・教員の方がよく言われるのが「ファクトベース」の思考法ということです。感覚や経験則ではなく、事実に基づいて議論を展開する。実は、結構難しいことですが、「ファクトベース」の議論をする癖がついたことによって、日々の業務における行動も変わってきたと感じています。事実に基づいているかどうかという判断の基準、考え方の軸が自分の中にできました。
「学んだことが実践でどう活きていますか?」で記載していることと同様です。
私は大学院で学ぶことによって、知識はもちろん、それらを実践的にビジネスに活用するスキルが身に付いたと自負しています。また、今ではかけがえのない仲間となったさまざまなキャリアを持つ同期とも出会い、多くの気づきを与えられました。
繰り返しになりますが、仕事をしながら大学院で学ぶのは大変なことです。それでも、自分自身に何か満たされぬ問題意識があり、「新たな自分にチャレンジしたい!」と思われるのであれば、まず具体的に行動をしはじめてみることを強くお勧めします。