大手タイヤメーカーで技術系の管理職をしています。1年前にタイに海外赴任して以降は、タイ人の部下、同僚と毎日問題解決の日々を送っています。家族ともども海外で暮らす貴重な経験が、子どもたちと私自身の成長に大いに影響していると感じています。
入学以前から、経営に関するスキルの習得に努めていましたが所詮は自己流でした。書籍での学習と資格試験にも挑戦しましたが、いまいち実践につながる体系的な学びにつながっていないようなモヤモヤとした思いがありました。そんなとき、会社の同期がMBAに挑戦しているということを聞きました。彼が日々成長している姿を見るにつけ自分が求めていた学びはMBAだったと気づき入学を考えるようになりました。
BBT大学院入学前に他校の単科を会社の補助で受けたことがありました。それはそれで刺激にはなりましたが、職場も自宅も東京の郊外の私にとっては、就業後に都心へ通学することは非常に困難に思えました。そんなときに、会社の同期でBBTの学生となっていた友人に、BBT大学院なら通学不要で自分のペースで学習できると紹介を受けました。実は以前から学長の「企業参謀」は愛読しており、入学した暁には直接教えを受ける事ができるかもしれないと期待して入学を決めました。
学長科目の一課題でありますが、いつも楽しみながらも、毎週毎週産みの苦しみを味わったのはRTOCS(Real Time Online Case Study)です。圧倒的なクラスメートの投稿に追いついていくだけで精一杯でした。入学当初は、学長案に近いものを答えなければならないと考えていました。しかし、「もしあなたがXXXの社長なら」と、お題である企業経営者であればどうするか?という視点で考えるべきと途中で考えを改めました。クラスメートの圧倒的な投稿に対抗することは敢えてせず、優秀な経営企画がたくさんの情報を上げてきてくれていると考え、自分のオリジナルの戦略を考えるようにしました。結論の提出は、いつも早い方ではありませんでしたが、日曜日の大前ライブの直後には必ず振り返りを一番に投稿するよう努めました。
これまで知識偏重の学習をしてきたせいで、自分でも気づかずに正解主義になっていました。答えのない課題について考える、クラスメートと議論するという体験は今までやってこなかった脳の使い方でした。学長科目はどの科目も、ファクトをベースにして、どのように新しい発想をし、どのように新しい見方をするかという、いわばトレーニングでした。
誰が言ったかより、何を言ったか。常に議論するということにオープンな環境は、自分自身にチャレンジに応じた負荷をかける事ができる環境でした。はじめは非常に苦しく厳しい環境だと感じましたが、いずれそれが喜びと感じられるようになりました。発言に対して手加減なしのクラスの反応は、決して独学では味わえない貴重な成長のチャンスとなりました。
仕事、家族、勉強これらを三立させることは、周囲の理解なければ決してできないことだと思います。正直いうと私自身は、決してうまくできたとは思えません。家族には大変な協力を頂いて、学びの時間を確保していました。就業後は、「えいや」と仕事を終わりにして近所のカフェに籠もってAirCampus三昧でした。帰る時間には夕食も済んでおり、子どもたちの寝かしつけだけが妻へのせめてもの罪滅ぼしでした。
出張の多い職種のため、学習環境を持ち運べるBBT大学院は非常に好都合でした。出張の移動中などはかえっていい勉強の時間となりました。苦労と思うようなことはあまり思いつきませんが、敢えて言うならとにかくすごい量のクラスメートの発言についていけるだけのスピードが自分には不足していたという点です。
2年次の途中から海外へ赴任しました。異文化の同僚、部下たちの中で問題解決を求められるのが今の私のポジションです。私自身が外国人である今の環境では、日本の「普通」、「常識」を推しても決して仲間たちにこちらの意図を伝える事はできません。そんなときは、ロジカルに考え、伝えるということがコミュニケーションとしても問題解決の手法としても大変有効だと感じます。
もともと技術系の私ですが、経営についての学びは自分にとって2つ目の軸を得たように思います。技術系の人間としてだけでなく、経営の視点から考えることができる様になりました。この2つの軸は私自身の希少性を高めていると感じることが最近多く感じられます。そして何よりこの2年間を乗り切れたということは、MBAのタイトルを得たこと以上に私に自信を与えています。
この1年で海外赴任、昇進と卒業を前に目まぐるしく環境が変わりました。まだまだ満足に結果が出せているわけではありませんが、今のフィールドにこだわらず自身の能力を信じて新たなチャレンジを続けたいと思います。私の目標は、今後も精進を続け稼げる爺になることです。
業界も年齢も違うクラスメートとの議論は、どれほど自分が狭いところに閉じ籠もっているかよくわかります。やるかやらないかで迷うくらいなら、いっそ始めてしまったほうが気が楽です。その先は後悔する暇もないくらい刺激的な毎日を送ることができます。