現在は南アフリカのヨハネスブルグで勤務しており、アフリカ53カ国を担当しています。それ以前はインドネシアの現地法人で営業を管掌、インドでは新プロジェクトの立ち上げ等、気がつけば会社人生の三分の一を海外で過ごしていることになります。大企業に入社した後、マニュアル通りのことはこなせるようになりましたが、海外に出て答えのない新しいプロジェクトを任された時に初めて、自分自身が「まじめな茹でガエル」として茹で上がってしまっていることに気づかされました。
MBAに対して何となく憧れのようなものはずっと持っていましたし、社内でも会社のMBA留学制度を利用してMBAを取得している先輩後輩が近くにいたことも刺激になっていました。本気でMBAに挑戦しようと思ったのはインドネシアで某自動車メーカーの現法社長から経営哲学を学び、自分もその方のような世界で戦うことができる日本人経営者になりたい、と思ったことがきっかけです。その師は現在向研会でもご活躍で、次の目標は向研会に入会することです。
MBA取得を本気で決意した時は海外で生活していましたし、すでに管理職になっていたため、部下を放ったらかして2年間休職するという選択肢はあり得ませんでした。BBTは、海外どこにいても、しかも働きながらMBAが取得できると知り、すぐに入学手続きのためエッセイを書き始めました。実際入学したら、その日からAir Campusで熱い議論が展開されていて、そのまま逃げ出してしまおうと思ったほどクラスメイトの本気度が伝わってきました。入学した週は、ベトナムに代理店褒賞旅行に出向いており、初めてのRTOCS(Real Time Online Case Study)の課題をハロン湾の船上で提出したのは今でもいい思い出で、本当に世界のどこにいても学べるということを実感しました。
入学前に「ロジカルシンキング」という名称がついたビジネス書籍を何冊も読んでいたため、論理的思考はすっかり身についているものと勝手に思い込んでいました。入学初日から始まった講義映像に魅了されつつも、教授から例題を出されて「ほな、考えてみてや」と言われてから講義に戻るまで何時間という時間を要したことも多々ありました。論理的思考は車の運転と一緒で、教則本を何冊読んだとしても、実際に脳を使って考えないと全く身につかないことを思い知らされました。
一番タメになり、そして一番時間を費やしたのがRTOCSです。RTOCSでは、ありとあらゆるフレームワークを用いてその会社の本質的問題を洗い出し、その課題に対して最適な戦略案を右脳と左脳をフル回転させて結論を導き出しますが、回数を積むごとに大前学長が提示する回答に近い結論が出せるようになり成長を実感することができました。入学当初、40時間費やして出した結論に対しTAから「1週間考えてその結論ですか?」とたった一言のコメントをいただいた時、本気でBBTを辞めようと思いましたが、今では常に自分自身にその一言を問うようにしています。
仕事が多忙な時など徹夜を強いられ何度も挫けそうになりましたが、やはり教授陣からの厳しくも暖かいメッセージや、クラスメイトの活発な議論に巻き込まれ、逃げ出すわけにはいきませんでした。議論への参加が疎かになるとスタッフの方々が個別にメールで応援してくださり、勇気をいただきました。自分一人では決してできない充実した学びを、よき師よき友、そしてよきスタッフの方々に支えられ得ることができました。
入学当時、インドネシアで130名の部下をマネージしていました。出張も多く、正直多忙な毎日で、食事をするときも出張等の移動の時も常に講義映像を見たり課題図書を読むなど、空き時間は全てBBTの学びの時間に充てていました。その姿を部下が見ていてくれていたためか、彼らの間で自然と新しい何かを学ぶ文化が醸成されていったの同時に、自立心が芽生えたせいか彼らの「相談」が「提案」に変わっていきました。結果として部下との対話の時間は短縮化されたものの、より濃厚な議論が展開できるようになり実績にも繋っていきました。学びの時間が確保できたのは優秀な部下たちに助けられたおかげで、真っ先にMBA取得の報告をしました。
大企業に入社しこれまで自分自身で経営課題を洗い出し戦略案を結論づけることなど全くしてこなかった自分にとって、「あなたが経営者だったらこの会社をどうするか」といきなり言われても、はじめは正直「どうすればいいかわからない」というのが本音でした。しかしBBTの学びを進めていくにつれ、クラスメイトのイノベーティブな結論にも触発され、「もっとイノベーティブな結論を出さねば」と思うようになりました。右脳で考え抜いても左脳が冷静にブレーキをかけ結論を導き出せず、明けていく空を見上げて「もう、嫌だ」と悲嘆に暮れた日々もありましたが、そのおかげで自分自身で戦略案を描けるようになりました。
日々の業務において問題は常に山積していますが、その問題を論理的思考で整理して本質的問題を導き出すことが容易にできるようになりました。また、RTOCS手法を用いることで中長期な戦略を自ら描き、様々な部署を巻き込んで実践に移すことができるようになったのもBBTの学びが活きていると実感しています。
入学する前は自分の会社や部下、自身のお客様といった「目に見える誰か」のために役に立ちたいという思いはありましたが、BBTの学びを通じて「目に見えない一人でも多くの誰か」の役に立ちたいという思いを強く持つようになりました。その思いを実現させるためには、教授陣がよく仰っていたように「さっさと起業しちゃえばいい」のでしょうし、そのコメントが常に頭の中でリフレインされています。その時に向けて卒業後もクラスメイトと情報交換しながら準備を進めています。
インド、インドネシア、アフリカ諸国でビジネスをさせていただいて感じたことは、いずれの国も目覚ましいスピードで成長しているという事実と、それに反して経済成長の勢いを取り戻せない日本において、多くの企業がこれまでの常識に捕らわれた社風をブレークスルーできていないという現状です。日本人の日本人による日本人のためのグローバル企業は、競争力を失う一方で、外国人経営プロを三顧の礼で迎え入れても長期的に成功している企業の実例は数える程度しかありません。そんな先の読めない時代だからこそ、日本人としてのアイディンティティを持ちながら、多様性を受容し変革的な組織を生み出すグローバルビジネスリーダーになるべく、自己研鑽を続けていきたいと考えています。
私自身も勉学と仕事が両立できるか悩み悩んでBBTの門を叩きました。卒業した今振り返ると、「何でもっと早く入学しなかったんだろう」という気持ちでいっぱいです。なぜなら、BBTの学びでは日々の仕事に即使える知識を習得でき、かつ「本質的な問題」を捉えるための考え方を学ぶため、日常業務が信じられないほど思い通りに進められるようになるからです。仕事と両立できるか悩んでいる方こそ今すぐ入学されることをお勧めします。