BBT大学院で得た学びをベースにして起業し、ベンチャー企業を経営しています。
現在、マンション管理組合向けのインターネットサービス「Air Com」を提供しています。「Air Com」は、管理組合の理事同士や居住者が、PCやスマートフォンを使って、いつでもどこでも互いに相談や議論ができるプラットフォームです。
【ご参考】多田隈さんの事業
マンション管理組合向け問題解決型SNS「Air Com」
URL:https://air-com.jp/
これまで長年、金融業界で働き、営業や投融資、プロジェクトマネジメントなどを経験してきましたが、BBT大学院を卒業し、自分のキャリアのゴールとして、自らの責任で会社を経営したいという気持ちが強くなりました。並行して、私たちの生活、ひいては、日本全体を少しでも良い方向にすることに、役に立ちたいという思いもありました。
たまたま、居住するマンションで管理組合の理事長を経験し、インターネットを最大限活用すれば、もっと便利で豊かな地域コミュニティが創れるのではないかと考えました。その想いを基に、事業計画を作成し、BBTが運営するSPOF(背中をポンと押すファンド)という起業家向けファンドの審査を経て出資を受け、起業しました。
これまで断片的に企業経営に近い経験を積んできたのですが、当時、それらを統合して自分なりの経営というものへの自信や確固たる考えを身につけたいとの想いが、次第に強くなっていました。
入学前までの経験分野を具体的に申しますと、銀行員時代は、顧客企業の財務分析を徹底的に行いましたし、現在の会社では、商品企画や事業開発、コンプライアンスを含めたリスク管理などスタッフの業務から、果ては、コールセンター運営などラインの業務に至るまで、幅広い部門を経験していました。
ある時、これらを統合して、要するに企業経営とは、どういうもので、どうすればよいのか?という疑問が、自分の中に沸々と湧いてきたわけです。その答えを見つけるには、やはりMBAを取得することが近道だろうと。そこで、何かが見えてくるのではないかという期待感を持ったのがきっかけです。
一言でいうと、あの大前研一さんがマッキンゼーで実践した人材育成プログラムを凝縮したBBT大学院で徹底的に学べば、どのような業界、会社であっても、揺るぎない経営の座標軸を持つことができるだろうと考え、迷わずBBT大学院に決めました。
入学して直ぐに、それは間違っていなかったと実感しました。兎に角、有無を言わさず、思考能力を鍛える課題が押し寄せてきます。1週間が、これまでの1か月、1か月が1年間に感じられるほどの鍛錬の積み重ねが入学後から始まります。
当時、確信しました。これを2年間もみっちり続ければ、使用前、使用後のように、自分の思考回路に変化が生じるだろうと。今振り返っても、BBT大学院のプログラムは本物だったと思います。
苦手科目を挙げると、「コーポレート・ファイナンス」になるのでしょうか。BBT大学院の科目は、ほとんどが知識を問うというよりも思考過程を問われる科目です。しかし、経営リテラシーのひとつとして最低限、知識として理解して方法論を身につけなければならない科目も存在します。そのひとつが、「コーポーレート・ファイナンス」でした。
Net Present Value(正味現在価値)を算出するなど慣れない分野が沢山出てきますが、科目ごとに配置されているTA(Teaching Assistant)はその道のプロで、教務課を含めた学生の疑問に対応する必要なサーポート体制は完備しています。
不明なことや理解できないことがあれば、24時間以内に回答いただけることになっていたので、終わってみると、当初の心配は無用でした。
また、多様な職務で活躍している同期の仲間がいるので、「これは、こう考えることができますよ」と互いに教えあう雰囲気が自然と醸成されています。これも大いに助けとなって、結果的に苦手科目でも問題は生じませんでした。
大学院在学中2年間にわたって、途切れなく続く大前学長の直接指導科目を挙げます 。これは、1年次の「経営戦略論」、「新資本論」。2年次の「現代の経営戦略」と連なっています。 毎週日曜日の2時間、大前学長が1週間に起こった時事問題を解説する「大前研一ライブ」を視聴し、クラスでディスカッションをすることで、経営環境や経済トレンド、社会動向を深く理解します。
平行して大前学長の著作「企業参謀」と「新・資本論」の輪読会を、それぞれ半年間かけて1章ずつ議論し、現代の経営戦略について深く学ぶ。 さらに、RTOCS(Real Time Online Case Study)で、「あなたが、○○株式会社の社長だったら、どうするか?」ということを、毎週考え抜き、週末には自らの結論を導き出す。
いわば、仮想経営者として徹底的に企業経営の準備をします 。経営とは、必ず結果を導き出さなければならないものですので、これ以上の準備はありません。 これを2年間みっちり行うことで、Are you ready?と言われたら、「待ってました!」と言わんばかりに、即、スタートできる自信を身につけることができました。
総合的にとても満足しています。
AirCampusを使ったサイバー上での議論は、とても奥深いものです。 ファクト(事実)を集め、それをロジックを使って積み重ね、本質的な問題を把握していきます。 次に、その本質的問題に対して革新的な発想方法を求め、解決策を考える。 さらに、その解決策が合っているのかどうか、またファクトに戻って実証や反証を行っていく。
この繰り返しを、多種多様な業界で既に活躍しているクラスメイトとともに、盛んに議論しながら、限りなく深く、追求していきます。しかも、サイバー上ですので、時間や場所に制約なく議論できるわけです。
このような知的興奮が溢れる場所は、これまで経験したことがありませんでした。 入学当初、「こんなに大変だとは思わなかった」と感じ、この先が思いやられましたが、しばらくすると、AirCampusで議論することが楽しくなってきました。それでも何度か、高いハードルが待ち受けていましたが、それを乗り越えたところで得られた同期の仲間との絆や、教授、TA、事務局との連携は、とても満足のいくものでした。
仕事と家族の両方とも手を抜くことはできませんね。日々多忙な中でBBT大学院の時間を捻出するにはどうすればよいのか?タイムマネジメントがとても大事になってきます。
これを実践するには、まずは周りの理解が必要でした。2年間に限り、職場、家族ともに、勉強に打ち込むことの理解を求め、無用な会議や会合に出席しないことや休日の過ごし方について承知してもらいました。ただ、「量」は削減しつつも「質」の維持を目指しました。
次に、集中力を上げていかなければなりません。最大限BBT大学院での学習時間を捻出するようにしたのですが、それでも当初、課題に追いつくのが大変で、時間がいくらあっても足りない状態でした。しかし、しばらく経つと、学習に割く時間は当初と変わらないものの、論理的な思考方法とそれをアウトプットする能力が身に付き、限られた時間内でも質の高い発言を繰り返すことができるようになったと感じています。
24時間という誰にも平等に存在している時間をどのように有効に使っていくか。これは、経営者としても重要な能力です。BBT大学院での2年間を経て、時間の使い方がとても上手になりました。
2年次になると、すぐに卒業研究の準備が始まります。
私は、新規事業計画を選択し、1年をかけて、じっくりとゼロからビジネスプランを作成することになりました。これが、最もBBT大学院で苦労したことです。 テーマ設定から始まり、狙いを定めた業界の統計資料の分析やインタビュー、アンケートなどによる市場調査、業界分析。革新的なアイデアの発想、実現可能性の検証などを徹底的に行います。
長丁場ですので、その間、苦しい時期が何度となく訪れます。 担当指導教授からの熱い指導の機会も沢山いただきました。最後は、大前学長へのプレゼンがありますが、普通では経験できない緊張を味わうことができます。 とても苦労しましたが、卒業研究を仕上げるまでのプロセスのすべてが、貴重な経験となりました。
問題というものは、あらゆるところに存在しています。そのような数ある問題に対してひとつひとつ対応策を練ることは、ある程度の水準があれば可能です。ただ、本質的問題に対する解決策となると、周りを見渡してもできる人はほとんどいません。
例えば、社内であるプロジェクトをキックオフするにしても、これまではそのプロジェクトのゴールが正しいのか、プロセスが正しいのか、検証することもなく、疑問も持たずに進めていました。そのため、途中で挫折したり、想定外の費用がかかったり、当初予定していた目標が全く変わってしまったり、という場当たり的な方法に終始していました。
BBT大学院でPSA(Problem Solving Approach)を学び、闇雲にプロジェクトを開始することがなくなりました。現象をまず抑え、グルーピングから、抽象化、仮説の設定、分析、実行計画の立案という順番をしっかりと踏むことで、プロジェクトの成功確率の向上やコスト削減、時間の短縮をすることができるようになりました。
BBT大学院で学んだことをそのまま実務で活かすことで、どのような問題が生じても解決策を導き出せるという自信を持つことができ、それが、社内でのリーダーシップの発揮にも結びついています。
BBT大学院に入学したからには、そこに存在するものすべてを吸収して、自分のものにしてやろうと決意していました。 AirCampusでクラスメートとの議論によって生まれる集団知。 いくつかの科目で設定されているグループワークでのリーダーシップ。 RTOCSに限らず科目のほとんどの課題に設定されている経営者としての考え方。
入学してから直ぐにこれまで蓄積していた知識を絞り切ってしまい何も出ないカラカラの状態になりました(笑)。それでもさらに、次々と「考える」ことを要求されます。実は、カラカラになってからが、本当の意味での学びのスタートだったのですね。 このような知的で濃密な経験は、通常の仕事をしているだけでは体験できないものです。
解決できない問題はない、というような自分の思考能力に対する揺るぎない自信を身につけることができました。
BBT大学院で経営者を想定した経験を可能な限り突き詰めましたので、これを実際のビジネスで最大限活用して、立ち上げたばかりの会社を成功させたいと思っています。
会社のミッションを次のように掲げています。
「インターネットを活用し、一人でも多くの住民が、居住する地域に、主体的に参加し、活発で、快適で、安心・安全な地域コミュニティの形成と価値向上に資すること。」
ご参考:https://air-com.jp/about-company/
現在は、地域コミュニティのひとつマンション管理組合に対してサービスを提供していますが、将来的には、自治会やPTAや地元スポーツクラブなど、地域に存在する団体、組織に広げていきたいという夢があります。
失われた20年と言われますが、一人ひとりの個人、ひとつひとつの地域コミュニティが、もっと主体的に考え、それぞれに変われば、日本全体がより良い方向に向かっていくのではないかと思います。
その為に、急速に進展するインターネット技術を最大限使って、微々たる力でも世の中に貢献したいと思っています。
BBT大学院に用意されているものは、そのすべてが、経営者になるための準備になっています。その貴重な経験を、一人でも多くの方々と共有し、共感しながら、BBTのネットワークを広めていきたいと思います。
BBT大学院で用意されている企業経営の訓練は、 例えば、出題される課題はほとんどすべて経営者としての考え方が求められます。AirCampusでの議論は、個々人の思考能力だけでなく、多様な業種、幅広い年齢で構成されているクラスメイトを説得したり、納得させるだけの発言の質が必要です。これは、ダイバーシティマネジメントやリーダーシップに繋がります。
毎週2時間の大前学長のライブ放送の視聴を続ければ、現在の経済環境の変化に敏感になります。マスメディアの報道を疑うようになり、本質を知りたい気持ちが強くなります。グローバルな視点での知見も増えますので、これらの情報は、正しい経営判断を行う土台となります。 また、前にも述べましたが、仕事、家族、BBTとのバランスをとる訓練は、経営者としてのタイムマネジメント力も鍛えることができるでしょう。
BBT大学院での所作すべてが、経営者としての訓練に繋がっていると思います。 最後に、共に苦労してきた同期の仲間との強い絆が、とても大きな財産になります。 どこにいても、機会があれば会い、連絡を取りますし、相談事があれば、気軽に声を掛け合う。同期が責任あるポジションに昇進したり、起業したり、事業を新しく始めたりすることを耳にすると、嬉しいとともに、自分への発奮材料になりますね。
BBT大学院の「知のネットワーク」に、一人でも多くの方が参加して、共に学び、互いに刺激をしながら、成長をしていきたいと思っています。