私は北海道札幌市で生まれ育ち、中学卒業後に航空自衛隊の学校に入り、最初は通信電子関連の仕事につき、その仕事のオーソリティを目指して努力しました。その間、夜間大学で電気工学を学び、機会を得て大学院にも行くことができ、工学修士を取得。これまで理系一筋で、様々な研究開発事業にも携わってきました。 私の場合、定年年齢は55才であり、“もっと広く世間のことを知っておく”必要性を強く感じたのが、45才の頃だったでしょうか。39才で長男を授かり、子どももまだ小さいことから、“第二の人生”について真剣に考え始めたのもこの頃です。
基本的に「明るい人生は自らの明るい心が創り上げてゆく」という考え方なのですが、いくらなんでも第二の人生に手ぶらでは臨めないと思い、様々な資格や各種学校のことを調べ始めました。また、自分の強化すべき分野を改めて見つめ直してみたのです。そうすると、経済大国に住んでいながら、経済のこと、日本と世界の関わりについては報道レベルのことしか“知らない”ことに気付きました。そこで、「どうせやるなら徹底的に」経営・経済などについて学びたいと思い、MBAの取得を考え始めたのです。
大前学長が「平成維新」の運動を始めた頃から著作を読んでいましたが、BBT大学院が作られていたことは知りませんでした。MBA取得を本気で考え、国内外のビジネススクールを調べ始めたときにBBT大学院を知り、説明会に行ってみました。「RTOCS(Real Time On-line Case Study)」 をはじめ、問題解決、大前研一ライブ(大前研一による講義動画)等、講義形式やその内容がユニークであったこと、海外であっても通学することなく履修できることがとても魅力的でした。ファクトをどう分析すればいいのか、あるいは、個人レベル、集団レベル、国家レベルでどうすればいいのか、自分の頭で考える能力を付けることができるように思えたからです。丁度、比較的時間が取れそうな地方への異動を控えていたことから、入学を決意しました。
これまで全く興味を持ったことのない、「アカウンティング」や「コーポレート・ファイナンス」が特に難しく感じられました。用語の定義や指標の割り出し方は暗記したり、都度資料を見ればわかります。しかし、それを学んだ上で、企業の財務諸表と実際の現場をもとに、その企業の進むべき道を自分の頭で考えるということは、これまで使ったことのない脳細胞を駆使したような感じです。
克服する鍵は、ともに学ぶ同期生との議論や情報提供にありました。様々な業界で体験を得ている同期生の議論や解説は、非常に参考になるとともに、大きな力となりました。また、他の講義で扱う企業の有価証券報告書等を見ることで、数をこなして慣れることを目指しました。
「問題解決思考」と「イノベーション」です。実際の問題でも、目の前の問題と、その奥に潜む本質的な問題をいかに見いだすかを事例とともに学んでいくのはとても面白く、現在の仕事にも十分活かしています。もっとも、この講義は長丁場なので、毎日こつこつやらないと後で大変なことになりますが・・。 また、科目にかかわらず、全ての教授が何らかの形で経営で大きな業績を上げられた方々ばかりなので、各教授から直接お話を聴く機会は、講義以上にエキサイティングでした。
キャンパスに集まって講義を聴くのもいいですが、年代や環境が同一の場合が多いようです。大学の2部にいたときも、昼間アルバイトをする学生と企業に勤める学生はあまり話をしなかったように思います。BBT大学院では、海外勤務をしている学生もおり、多角的な議論、多種多様な業界、ユニークな体験に話が及ぶので、議論自体がエキサイティングでした。私も自分の得意な航空機や国家戦略に関する話題では、少しでも貢献しようと、投稿したり、レスを付けたりすることを心がけました。BBT大学院での議論は、give and take というよりも、“give and give” brings me big crops. だったように思います。
幸か不幸か、在学中は単身赴任だったので、子どもに遊んで欲しいとせがまれることなく、勉強に集中することができました。一方、自分のことは全て自分でしなければならないので、その時間管理の方が大変でした。学期と学期の合間は、勉強以外のことに集中して遊ぶことによって、メリハリを付けるようにしました。
限られた時間の中で、勉強したいことにいかに取り組んでいくかが問題でした。同期生の中には、2年間で全ての科目を履修した強者がいますが、学びたい科目が多くある中でどれを選択し、うまく消化していくかが腕の見せ所かもしれません。
自分自身の問題、仕事上の問題、毎日の生活での問題をはじめ、どのような切り口で考えたらいいのかがよくわかるようになりました。また、店に入っても、この店をさらに繁盛させるにはどうしたらいいのかを自然と考えるようになりました。そんな自分を煩わしく思うことがないわけではありませんが、ものの見方が広がったということに満足しています。特に仕事の進め方は大きく変わり、本質的問題点を見いだすアプローチ、それに対する解決法、そしていかにして実現するかを明確に意識しながら物事を進めることができるようになったことが最大の成果です。
入学前の自分と現在の自分を比較すると、もののとらえ方、注意が向く分野、普段の行動パターンが、より積極的に、ポジティブになっていることを強く感じます。より大きな自信を得ることができたともいえます。
まずは今与えられている仕事をきっちりこなし、自分に与えられた使命を全うして、自分に対する信頼に応えることを第一にしています。その上で、どれだけ多くの方に貢献できるか、メリットを生み出すことができるかに、自分の能力を使っていきたいと思っています。
定年まであと4年を切りましたが、意欲と情熱のある若きアントレプレナーの片腕になれたらと思います。これからは単なる才覚だけでなく、より人間の器を広げ、徳を高めていかなければと強く感じています。
私の体験談をご覧になられている人は、これから学びたいと思っている人だと思います。私は46才でBBT大学院に入学しましたが、私より若い人の方が多いのではないでしょうか。学び始めるのに遅いということはありません。学びたいと思ったときが最適の時期というものでしょう。
在学中の2年間は人生で一番勉強した期間かもしれません。その分大変だと思いますが、必ずその成果が得られるでしょう。皆様とお目にかかれるのを楽しみにしています。