大学院卒業後、鉄鋼メーカーに就職しました。入社から6年は棒や線形状ステンレスの生産工場の設備投資の実行を担当しました。30代前半には、ステンレス生産工場の設備投資企画や生産性改善などの業務を担当し、現在は、ステンレス薄板工場の設備投資の実行を担当しています。鉄鋼業は装置産業であり、生産設備の装備力が競争力に直結します。競争力の最前線で仕事をさせてもらえたと感じています。
プライベートでは音楽(オーケストラ)やアルペンスキーやトライアスロンといった趣味に取り組んでいます。いずれも本物を追求し、有識者や専門家の指導を受けたり、日々コツコツと努力をしてきました。仕事では一朝一夕で解決しない問題も多いですが、趣味を通して培った本物を追求する姿勢を活かし、設備装備力の強化による競争力向上に日夜取り組んでいます。
私が勤める企業は国内市場ではトップシェアを誇ります。しかし世界の市場での存在感は徐々に低下しています。国内でのシェアも海外の競合企業に浸食されている状況です。海外競合が超大規模な設備投資やM&Aで巨大化する中、私が定年の歳を迎えるまでに当社は存続できているのか考えるようになり、漠然とキャリアに不安を持つようになりました。たとえば転職したり起業したりして新たなキャリアを切り拓く選択肢もあるかと思いますが、幅広いビジネススキルや意思決定スキルに自信がないままそのような道を歩んだとしても、後ろめたさや後悔が付きまとってしまうのではないかとも感じていました。
知識は、書籍、ニュース、各種メディアなどを通じて独学することは出来ます。しかし、それらの知識を統合して結論と方向性を見出す実践的なトレーニングは独学では難しいと考え、そのトレーニングの場としてMBA取得を目指しました。
20代前半の大学院生の頃、大前学長の著作である『「知の衰退」からいかに脱出するか?』という書籍をたまたま拝読し、自分の頭で考えるということの重要性を感じていました。その後も、雑誌などで大前学長のコラムを拝読したりBBTの他の講座を受講したりしていました。このような出来事を経て「MBAの取得を目指すならばBBT大学院の門を叩く」と考えたことは自然な流れだったと思います。
BBTに入学するまでのキャリアを通して、わたしは典型的な「技術バカ」だったと思います。どういうことかと言うと、技術の優位性や製品の性能、私の業務に近いところで言うと生産設備の能力やスペック、それらが高ければ高いほど良いし、それらの高さは企業の競争力に直結すると考えていました。一理ある面もありますが、企業の成長や競争力の向上の為にはそれらだけでは不足しており、なにより顧客の理解や支持、顧客への貢献が不可欠だという意識がありませんでした。マーケティングとは、顧客のニーズを掴み、どのような顧客母集団に対してどのようなアプローチをしていくのかを考える学問領域であり、思考方法の体系です。それまでの自分の思考プロセスには無かった新しい思考法に最初は戸惑いましたが、RTOCSや他科目での学びを通して顧客視点を意識するようになり、徐々に自分の意識と思考法を変えていくことができました。
BBT大学院の大きな特徴と言えばRTOCS(Real Time Online Case Study)です。これは、履修期間中は毎週実施されるものであり、実在する企業の戦略立案をトップの立場から考えるといった内容です。取り組み始めた最初のころは、思い浮かんだ自分のアイデアを補強する為だけの情報収集を行っていましたが、講義で学習した問題解決のアプローチを自分なりに実践していくことで、本質的な問題発見からその解決策までを論理だてて考えることが出来るようになっていきました。言い換えれば、全社変革を企図するトップマネジメントの思考法を身につけることが出来ました。
先生方の多くが実務家ということがBBTの特徴として挙げられます。そのため講義では単に理論や教科書の解説に留まらず多くのビジネス事例を紹介いただけるため、解像度高くかつリアリティをもって理解することができます。また、クラスのディスカッションのテーマにおいても、現実に起こっていることや過去に起こった事象を取り扱うことが多いです。一つのテーマやトピックに対して複数人で多面的に議論するため、批判的思考力を養うことにもつながっていきます。この素養はもちろん現実のビジネスシーンでも大きな強みになっています。
入学直後に長男が生まれました。入学当初は平日の深夜を学習時間に充てていましたが、日中の疲れもあり学習は捗らなかったです。物音がするため子供の睡眠にも良くないと思い、平日の生活リズムを早朝型に切り替えることにしました。静かな時間で学習することが私には合っていましたね。また、自宅での隙間時間には家事を行い、通勤時間や昼休みは学習に充てるなどして、どんな小さな時間も無駄にしないように意識していました。それでも休日も学習時間を確保する必要があり、家族の時間を以前と比べて確保することは難しかったです。このような状況を理解し、学習を継続することを受け入れてくれた妻には感謝しかありません。BBT大学院で培ったことを家族にも還元していきたいと思います。
BBT大学院を2年で修了することを目標としていたため、常に複数科目(3~4科目)を同時並行で受講していました。いずれの科目もしっかりと学びたい、完璧を目指したい、と決意してしましたが、いざ始まると毎週やってくる講義視聴や学長科目の課題に追われ、100%の理解度やコミットをもって進めることはやはり難しい… と思うようになりました。学習時間を増やそうと無理をした時期もありましたが、長続きしませんでした。自分の中でどこまでを「納得いく水準」に置くかといった線引きが悩ましかったですね。このような観点で苦戦する科目は多かったのですが、現実のビジネスでも全てを完璧にこなすことはできません。働きながらのMBA取得は、線引きを意識しバランスや優先順位をとるトレーニングの場でもあったのだと振り返っています。
普段仕事をしていると、多かれ少なかれ問題は発生します。BBT大学院入学前まではそれらの問題に対して、ただ単に愚痴や不平不満を述べていただけだったと思います。しかしBBT大学院で問題発見や問題解決に対する体系的なアプローチを学べたお陰で、同様の事象を目の前にしても常に本質を押さえた再現性ある思考が出来るようになりました。また「自分ならどうするか?」という意見を論理だてて述べられるようになったり、自分の権限を用いて実際に取り組みを行えるようになったりしました。
BBT大学院では積極的なディスカッションにより集合知をより高めていくことが推奨されています。一人だけの意見や考えでは独善的になったりアイデアが発展しなかったりするものですが、多様なバックグラウンドを持つクラスメイトとのディスカッションであれば、新たな視点を生み出したり組み合わせたりすることが可能になります。まさに建設的な議論はイノベーションのきっかけなのです。このような体験を在学中に重ねることによって、ディスカッションを通じて互いに前進していくことは言語を扱う人類にとって普遍的な営みではないかとさえ考えるようになりました。それからというもの愚痴や不平不満だけを述べるような集まりには気乗りしなくなり、前向きかつ真剣なディスカッションを行える場の方が圧倒的に楽しいと思うようになりました。
もともとは自分のビジネスキャリアの行き詰まりを恐れて、それを打開するためにBBT大学院の門を叩きました。しかしBBT大学院で学ぶことを通して、ビジネスという領域に留まらず、多様な生き方、グローバルな広い視野、そして多岐にわたる知識に触れることが出来ました。今後は自分と家族と、そしてその周囲の人々の人生の豊かさを最大化するために、BBTで学んだことを活かしていきたいと思います。社会貢献活動にも参加していきたいです。
BBTへの入学に迷っていたら、まずは説明会に参加することをおススメしたいです。それでも迷いがあるようであれば、もう思い切って出願してしまうことが良いと思います。BBT大学院のMBAプログラムは非常にタフで大変です。また仕事や家庭がある中で一歩ずつ学びを進めていくためには、自己変革が求められると思います。その自己変革への挑戦の結果がどのような形になったとしても(たとえ途中で退学することを選んだとしても)、真正面から自分と向き合ったのであれば必ず自身の人生の糧になると確信しています。
私自身、BBT大学院を修了した今現在も科目履修生として学びを継続しています。新たな仲間と一緒に学べることを楽しみにしています。