企業の製品やブランドを伝えていく広報の仕事に長年携わっています。これまでの約20年間で会社は数社変わりましたが、仕事はずっと広報です。自社の製品や企業姿勢についてよりよく理解してもらうこと、そして最終的には人々のマインドに変化をもたらすような影響を与えることが広報担当者のミッションです。主にメディアの方々とのやり取りが仕事になりますが、社内の意識を高めるインターナルコミュニケ―ションや、政府・行政との交渉を行うパブリック・アフェアーズなども、広報の仕事に含まれます。ですので、仕事はかなり広い範囲をカバーし、社内のあらゆる部署とつながりつつ、情報の整理と編集を行います。私は数年前に管理職になるまでは、現場での対応を中心に行ってきましたが、管理職になってからは、企業コミュニケーションの戦略の策定とチームマネジメントを中心に行っています。
入学当時は、どちらかというと、MBAを取得することが最終目的ではありませんでした。それよりも、起業するために大前先生の考えを身につけ、経営のスキルを学ぶということが私のゴールでした。その結果としてMBAをいただいた、と言った方が私の場合はより正確です。もちろん、多額の自己投資をするわけですから、見返りとして学位はあればそれに越したことはないですが、本気でMBAを意識し始めたのは卒業研究に着手した3年目になってからです。最終年に事業計画書を書き始めて、初めてMBAを手に入れたいと意識し始めました。結果的には、大前先生のスピリットを経験し、ほしい学びをすべて手に入れることができ、その結果MBAもいただけたので、ベストの結果に落ち着けたと思っています。
長年、企業の広報に携わってきていたにもかかわらず経営に疎く、いつかは起業したいと思っていたので、「経営を理解する力」を身につけたいと思っていました。当初は海外のビジネススクールを探していましたが、自分の生活スタイルや収入に合う学校をなかなか見つけられずにいました。そんな矢先に偶然、大前先生の講演会に参加する機会がありました。恥ずかしいことに、その時まであまり大前先生のことをよく知らなかったのです。この出会いは私の人生において大変大きく、先生の1時間の講演にすっかり魅了され、「ビジネススクールに行くならBBTだ」と、その日のうちに入学を決意したことを覚えています。あの時、ほんとうに偶然に大前先生に出会えたことに心から感謝しています。
仕事で数字をあまり触らないため、アカウンティングやファイナンスではとても苦労しました。しかしそのおかげで、苦しい授業時ほど、クラスメートの存在がありがたいという貴重な経験をしました。クラスには、逆に数字が得意という方がいらっしゃいます。理系の方もいらっしゃいます。そういう方々に「Help Meサイン」を出して、週末にファミレスなどで一緒に勉強するなど、かなり助けてもらいました。この経験はとても貴重でした。BBTのクラスメートは積極的で前向きな方が多いので、知らなかったことや理解できなかったことを数多く学び、授業だけでは得られないリアルでの体験も得ることができました。また、自分の得意な科目においては、苦手なクラスメートに協力し、少しは貢献できたかと思います。クラスの多様性は本当に価値があったと思います。
これらの授業は私の思考の仕方を変えました。私は入学する前は悲観的な性格でしたが、3年間の学びを通して、今は楽観的かつ前向きな性格になりました。仕事上の問題に直面しても、乗り越える方法があるということを学んだからだと思います。また、仕事だけではなく、生きる上でも追い詰められらた時、逃げずにどう解決するかを教えてもらったのが、これらの授業だったと思います。これはスキルを超えた本質的な変化であり、最も大きな収穫の一つでした。
最初はAircampusの使い方一つをとっても、IT音痴の私にとっては難しいハードルでした。しかし、事務局の方のサポートや、クラスメートの助けでBBTの特徴的な部分にも、数か月で溶け込んでいけました。授業はオンラインですが、休みの日にはリアルな場での会合や勉強会なども頻繁にあり、またBBT主催のイベントも数多くあって、とても楽しい時間でした。
仕事とバランスを取りながらきちんと勉強したのかというと、決してそうではなかったです。時間はあったはずなのですが、夜になっても勉強していないことはよくありました。なるだけ朝夕の通勤時間にモバイルで授業を見て、土日祝日に投稿するように努めました。けれども、授業を消化することが中心となり、決して十分な投稿やディスカッションができたわけではありませんでした。しかし、私にとってはBBTは心の支えだったので、仕事で悶々としている時の「逃げ場」のような存在でした。職場や会社の人間関係で納得いかないことがあるときに、BBTは私のネガティブな思考をポジティブに変えてくれました。その意味では、会社での仕事に追い詰められることなく、BBTで心の栄養をもらいながら、仕事を続けられました。私の場合は、「仕事・家族とBBTとのバランス」というより、「BBTのおかげで自身の心のバランスが保てた」と言えます。
『問題発見思考』や『問題解決思考』でロジカル思考を学ぶと言うことは、投稿も単なる感想や根拠を明確にしない意見を書かないということになります。この点が最も苦労しました。言いたいいことはあるけれど、それを支えるロジックやファクトが不十分で結局投稿できず、という苦々しい経験をたくさんしました。今から思えば、もっと根拠探しのための努力をするべきだったなと反省です。発言する際に、理由や根拠を明確にするロジカル思考は、最も苦労したことの一つですが、これこそがビジネスの根本言語であり、経営における不可欠のスキルだと思います。投稿する度に訓練させてもらっていただのだなと思います。しかし、この経験を活かして、仕事では今はまず「根拠」を探るようになりました。
思考自体が変わったので、仕事だけではなく生活においてもあらゆる場面で活かされています。あらゆる出来事を一歩引いて観ることができるようになりました。これはものごとを俯瞰し、冷静になることを意味します。これには、「長期で変化を見る」ことを学んだ問題発見思考のスタンスが活かされています。また、上司から与えられた課題に対し、こじんまりまとめようとするのではなく、これまでにないおもしろいアイデアはないかと常に意識するようになったのは、『イノベーション』で数々の手法を学んだからだと思います。そして、何よりも、課題に直面した時、表面的な現象を見るのではなく、その根源にある原因や理由を見つけて分析しようとするようになったのは、毎週「大前研一ライブ」を聞いていたからに他ならないと思います。
何よりポジティブ思考になったことです。それは、ロジカルに物事を見ることができるようなったからだと思います。理由や原因がわからないでいると、悲観的になりがちでした。悲観的な思考の原因が、論理的に考えない自分の在り方にあるということも知りませんでした。でも、ロジカルに考えられるようになり、解決しようと決意したら、〝There is always a way” だと思えるようになり、解決方法を自ら探すようになりました。楽観的に努力することができるようになったのは、私の中での最大の変化です。
そもそも起業する上で大前先生の考えを学びたいと思ってBBTに入学したのですが、在学中に2回転職しました。その結果、起業する前に、今の会社で海外勤務を経験したいと思うようになりました。今の会社には、海外支社で働ける機会があります。まずは、グローバルリーダーとして、海外で何年か働き、その後、今の会社に少し恩返しをさせてもらった後で、起業したいです。これまで培ってきた広報の仕事と、BBTで学んだ経営のスピリットとスキル、海外支社での経験、これらすべてを融合させて、小さくてもいいので自分の会社を作り、社会に貢献したいと思っています。実現するのはいつかわかりません。でも、自分のペースで夢に向かって確実に進んでいきたいです。
BBTは単にビジネスのスキルだけを学ぶ学校ではありません。ビジネスの精神からスキルまでを学ぶ場所です。その精神があって初めて、スキルは生きるのだと思います。もし、スキルだけを学ぶのであれば、もっと簡単にMBAを取れる学校は他にもあるでしょう。でも、ビジネスを学ぶ上で生き方や考え方を変えたいと思う人、スキルだけでは通用しない現実に対応するための本質を学びたい人は、BBT以外にはたしてふさわしい場所があるだろうかと思います。思考が変わると、人生の風景が変わるのです。すると自分の行動も変わります。私はこのような劇的な変化を40代後半で経験させてもらいました。勉強は大変だったし、消化不良に終わった科目もありました。成績も決してよくはなかったです。けれども、諦めないマインドや、在学中に得られたクラスメートは、一生の宝物です。今改めて、BBTに入学し、卒業できたことに感謝の気持ちでいっぱいです。