機械工学の博士号を取得後、トヨタ自動車に入社。
水素を燃料とし、排出は水のみという「究極のエコカー」燃料電池車における、燃料電池システムの設計、電気回路設計、電気部品設計、燃料電池の制御設計に携わっています。
現在は、世界初の燃料電池量産車、MIRAIの燃料電池システム設計、水素・酸素の供給制御、燃料電池の冷却制御を設計しています。
BBT大学院MBAで学ぶ内容とは一見関係なさそうに見えますが、問題解決思考、マネジメントは、日々の業務に大きく役立っています。
博士号まで進み、理系エンジニアとして技術開発ばかりに注力していたが、30台半ばになりマネージャー職も近づき、リーダーシップやマネジメント能力を身に付けたいと考え始めました。
トヨタで問題解決の教育を受けてきたのですが、更に問題解決能力を高めたいという動機から、入学しました。
グロービス大学院、名古屋商科大学大学院の説明会にも参加しました。仕事も忙しかったですし、通学に片道約1時間かかるため、平日夜の授業に間に合わないことも有り得ます。また、毎週末に通学すると、家族と過ごす時間が全く無くなることが懸念点でした。
一方BBTは、全てオンラインで進められ、いつでもどこでも勉強ができるので、家族も納得してくれました。
どうせやるなら超一流の講師から学びたいと考えていました。オンラインで録画した講義を聴くBBT大学院では、名古屋に来れる講師ではなく、全世界で活躍されている超一流の講師から学ぶことができるのではないかと考えました。
異業種の同級生から様々な学びを得たいと考えていました。名古屋にある学校だと同業関係の同級生が多くなると考えました。BBT大学院は、同級生は様々な業界の方で、またブラジル、アメリカ、中国にも居て、様々な学びを得ることが出来ました。
同級生に質問をして教えてもらいました。分からないことは、分からない、教えてくださいとディスカッションフォーラムに書き込みました。同級生には、会社経営者、経済学部卒の方がおり、その仲間が親切、丁寧に教えてくれました。
逆に技術のことを同級生から質問を受けた時には積極的には答えました。
ディスカッションフォーラムに書き込むので、書いた内容が残ります。論理的におかしい内容や、曖昧な点は、すぐに同級生から指摘を受けます。ですので事前に整理してから書き込む必要があり、自分自身の理解の再整理にもなります。
お互いに教え、教えられることで、同級生のレベルが上がっていき、ディスカッションがより深いものになり、良いサイクルになります。
RTOCSでは、毎週、お題となった会社の社長になりきり、「自分ならこうやって会社を伸ばす」という結論を出します。これを2年間継続すると、当事者意識が強くなります。会社の仕事においても、自分の担当はもちろんですが、直接の担当では無くても、「自分がその担当者であったらどうするか」という意識になり、必要に応じてヘルプをするようになりました。
結論を出すには、業界の分析が必要で、収益構造、ビジネスモデルなどを把握します。民主党が大敗し、自民党に政権が戻った直後に、「あなたが民主党の党首であれば、再度政権を取るために何をするか?」というお題が出ました。正直参りましたが、調べることで、政治、経済にも興味を持つようになりました。
問題発見思考では、ファクトをベースに、フレームワーク、MECE、演繹法、帰納法、ピラミッドツリーなどを活用し、仕事の課題やRTOCSの結論を出す上での、基盤を学びました。
多い時には5、6科目同時に並行して講義を受講しました。講義を聴き、ディスカッションに参加して同級生と議論して深く理解する。仕事から帰宅後の夜に進めていると睡魔との戦いでもありました。それでも朝起きてチェックすると、ディスカッションに返信が来ていて、「自分より頑張っている人がいる。もっと頑張らなければ」と、心奮い立たされました。
仕事に応用できる実践型の講義でしたので、特に、問題発見思考、問題解決思考、組織マネジメントやリーダシップ論については、学んだことを仕事で実践して効果を試し、効果の確認しました。
平日は、出勤前の1時間、仕事終わりの帰宅後に2時間と、休日8時間程度、勉強していました。
仕事は燃料電池車の市販化に向けて大事な時期でとても忙しかったですが、早く終わらせることが出来た日には会社の自習室に行き、深夜まで勉強をしていました。
休日は、できる限り家族との時間を作るために、早朝3時ごろに起床して、家族が起きるまでの時間に勉強をしていました。
毎年恒例の家族でのスキー旅行も、同様に早朝3時ごろに起床して、ホテルの部屋の隅の方で、家族が起きるまで時間にRTOCSをまとめていました。
とは言え、いつもこううまくいくことは無く、土日まるまる勉強をしていることもあり、家族には迷惑をかけました。
在学中の2年間共に、7月末から8月中旬にかけて、燃料電池車のアメリカでの走行、市場適合性確認のために海外出張していました。
当然ながら海外出張前は仕事多忙で講義未受講がたまっていました。
スーツケースの中には分厚い参考図書をたくさん入れ、飛行機内ではIPADとMyPCを持ち込んで、機内Wifiにつなぎ、講義受講と、ディスカッションへの投稿をしていました。
現地での仕事後はホテルに戻り、必死で勉強をしていました。ロサンゼルスのホテルで学長講義の最終試験を受講し、ラスベガスのホテルで、誘惑にも負けそうになりながらも、斎藤顕一先生の問題発見思考の最終試験を受講しました。
2年次の卒業論文は、飛行機内でラストスパートをし、機内で最終提出をしました。
この経験を得て、「何とかなる」、「時間が無いというのは言い訳にすぎず、工面すれば勉強時間は作れる」と改めて理解し、少し自信がつきました。
問題発見思考やRTOCSで学んだことを車両の開発に活かしています。車の課題を解決する際、まず十分に実験データなどのファクトを集めます。次にMECEのフレームワーク、演繹法、帰納法、ピラミッドツリーなどを使って、ファクトを整理し、なぜなぜを繰り返しながら真因を見つけ、対策をしています。ファクトに忠実になり、しっかりと分析することで、思い込みや思いつきの対策を打たなくなりました。
仕事とMBAの両立を実現するためには、仕事と数コマの講義受講とRTOCSを並行して進めていく必要があります。プロジェクトを並行して進める訓練になり、卒業した今では、仕事を複数並行して進める力が付いていることを実感しています。
例えば燃料電池車に関して、車だけではなく、エネルギー事情、水素ステーション、競合車両など多面的に把握して、水素社会に向けた動向を考えるようになりました。
週1の大前研一ライブでは、世界・政治・経済・エネルギー・企業など幅広い観点で、学長の解説を知ることができます。水素を作る天然ガスをどこの国から輸入すべきか、液化なのかパイプラインなのか、どのようにして日本に輸送するか、また、原子力発電所が停止している中での電気エネルギー政策など、国のエネルギー政策についても興味を持つようになりました。
水素社会を実現するには、水素ステーションを普及させる必要があります。日本と欧米の水素ステーションの建設費比較、各国の補助金比較、水素ステーションを建設する上で満足すべき法規比較などを調べるようになりました。
また、燃料電池車の競合となるテスラなどの電気自動車の動向についても、注視するようになりました。
トヨタは世界初の燃料電池量産車、MIRAIを発売し、来年以降、世界中の競合他社が次々と燃料電池車を市場に導入してきます。競争が激化します。そのような状況下で、どのような戦略を立てて、イノベーションを起こして、提携をしたBMWをどのように巻き込んで、燃料電池車を開発していくかを考え、推進していきたいと考えています。
一方で、水素社会の実現はまだまだスタート地点に立ったばかりです。自動車だけではなくインフラ、家庭用燃料電池など水素社会トータルの市場規模は今後大きくなると予想がされています。日本の産業の発展、雇用の拡大、エネルギーセキュリティの確保のために、日本が水素社会で世界をリードできるようにするための戦略も考え、提案し、貢献していきたいと考えています。
一度きりの人生、いつ何が起こるか分からない、今入学を検討されているのであれば今入るべきです。来年は入りたくても入れないかもしれません。
先送りはしない方が良い。「やりたいことは全部やれ。」これも大前研一学長から学んだことです。
授業料は安くはないですが、それ以上の価値がありました。
私は、直接大学院に入学しましたが、単科を受講してから大学院に入学している同級生もいます。
私も、次のステップとして別の講座を受講し、スキルアップをしようと計画中です。