公務員として、港や空港を整備する仕事に携わっており、物流や人流が地域経済をつくっていることを日々実感しています。30歳を過ぎたころから、世界一の超高齢化が進む日本社会の中で、自分たちは本当にこのままでよいのだろうかと疑問を感じるようになり、何か今後の人生に役に立つ学びはないか探したところ、絶対に必要と感じられたのは経営学でした。公務員がなぜ経営?とよく聞かれますが、行政はサービス業の一つであって、公務員だからこそ国や地域を経営していく感覚が求められているのではないかと考えていました。私は一般的には、余計なことをせずにはいられない変わった人間みたいですね(笑)。
IT産業の進展による経済のグローバル化・ボーダレス化、そして国内の著しい少子高齢化等を背景に、様々な業界で不振が続き、自分の周囲でも倒産する会社が増えてきました。さらに、多くの自治体や行政組織は財政難に陥り、めまぐるしく変化する社会環境の中で、精神疾患等の患者が急激に増えるようになりました。必死に頑張る人が病んでいく悪魔のスパイラルのようなものがあって、このままで良いのか、何かできることはないのかという想いが沸々と湧いてきました。何が原因なのかよくわからないけど、この現状はおかしい。小手先ではなく本質的な問題解決方法が知りたいと思っていたところ、知人にMBAを目指してはどうかと勧められました。今の世の中には、「本気で世界と勝負する」という思想的部分と技術的部分が足りないと感じていたので、MBA取得は、骨があって、魅力のあるものだなと思い始めました。
シンガポールやマレーシアの国家アドバイザーを務め、道州制の提唱者でもある大前研一先生をはじめ、世界を舞台に勝負を挑んできた一流の方々が教授だったことと、さらに自分の生活環境を大きく変えずにその学習ができることが主な決定要因でした。本音は留学をしたいと思ったのですが、既に結婚して子供もいましたので、仕事を続けながら自分のスキルを磨く方法がないかを探しました。そもそも遠隔教育でスキルが身につくのか、また遠隔教育で、先生や学生と利害を超えた本気の議論ができるのかよくわからなかったのですが、「毎日が目から鱗で、ものの見方、考え方が全く変わる。」と先輩からの助言もあり、BBT大学院に挑戦してみることにしました。今考えても、この時点で考えられる最良の選択をしたと思います。
マーケティング関係の科目は比較的苦手でした。とにかく7S、5F、4P、3C、SWOT等のフレームワークの手法を全く使ったことがなかったので、慣れるのに少し時間がかかりました。克服する方法としては、ライブを聴きながらテキストを別のノートに写してメモを取り、日々の仕事や毎週出されるRTOCSの課題の現状分析にフレームワークを活用したりして、コツコツと慣れるようにしました。後正武先生の本「経営参謀の発想法」は経営戦略についてとてもわかりやすく書かれており、何回も読んでは赤線を引き、付箋だらけになってしまいました。勉強は気合と根性で、コツコツとやるものだと改めて実感しましたね。
たくさんありますが、あえて一つ挙げれば「イノベーション」でしょうね。イノベーションの思考プロセスを体系的に学ぶことによって、より多くのアイデアが出せるようになったと思います。日本人は、物事を分析する前から、できない理由を言いがちですが、これでは問題解決はできません。事実に忠実に分析を行い、問題解決に向けて、思いっきり思考を発散させる。戦略的自由度と発散思考・収束思考を習得するのは簡単ではないですが、考える習慣をつければ、ある程度はできると思います。また今の時代最も大切だと感じたのは、「構想(KOUSOU)」です。前例の通用しない解の無い時代、将来像をどう描くか、構想力なくして何も成し遂げられないことを学びました。
今考えると、自分の考え方が180度変わるような体験だったと思います。先生方のロジカルでエネルギッシュな講義に、AirCampusで繰り広げられる生徒たちの熱い議論は、常に刺激的で、とても魅力のあるものでした。その魅力に引き込まれると同時に、自分の器の小ささを思い知らされましたね。BBT大学院の議論の質は、間違いなく日本一だと思います。事実に忠実に考え、根拠を示すことが常に求められるため、文章を書くにも時間がかかります。しっかりした議論をしないと良い成績はもらえないようにできていますよね。本気の議論をぶつけあった仲間は、数回しか会わなくても不思議と人となりがわかります。必死で勉強し、同志と言える仲間ができたことは、本当に嬉しい限りです。
あまりにもハードで1年目に体を壊してしまい、自分自身をマネジメントできなかった私はむしろバランスさせられなかった卒業生ですね。しかし、3年間学ぶことによって、より濃い学びを得ることが出来たと思います。退院後、2年で卒業するのは早々に諦めて、3年で卒業することに切り替えたのですが、それでも自分の時間を創り出すのに一苦労でしたね。常にギガビートとパソコンを持ち歩き、歩きながらライブを聴き、15分以上の空き時間があれば、パソコンを開いてエアキャンパスの議論をしていました。土曜日は家族の日として、日中はできるだけ家族サービスに徹し、それ以外は全て勉強時間に当てました。3年かけて学ぶことで一科目をじっくり学べたし、同期以外の人とも深い交流ができたことは本当によかったと思います。
一番苦労したのは、勉強時間をつくりだすことですね。特に週に一回の「RTOCS(Real Time Online Case Study)」は本当に大変でした。「あなたがキタムラの北村正志CEOとすれば、今後チェーン店の維持をどのように図っていくか?」「あなたがブラジルのルラ大統領とすれば、オリンピックの開催が決まった今日、自分の引退までに最低何をするか?」といった難問に、自分なりのロジックで戦略を立案しなければならないのですが、日中は仕事をして、夕方は職場の付き合いも断り、週末は家族との折り合いをつけながら、情報収集・分析して答えを出す。情報収集が甘いと戦略が全く立案できないんですよね。とても貧弱な文章しか書けない。2年間で100のケーススタディは全てを提出できたわけではないですが、何とかついていくことで、自分の知らなかった業界のこともある程度分かるようになりました。
BBT大学院での学びによって、物事の見方、考え方、解決に向けたアプローチの方法が全く変わったと思います。問題解決することを前提に行動するようになりましたね。リーダーシップとはポジションによるものではなく、自らが考え行動する生き方であることを知り、自分の使命を念頭に置きながら、誠実な思いをただ貫くというとてもシンプルな思考プロセスで行動できるようになりました。若いころ持っていた「何のために生き、何のために働くのか?」という疑問の答えが明確になり、迷いがすっと消えたと思います。まだまだ何の成果も挙げられていませんが、多くの日本の組織は肥大化し、大企業病を患っていることは確かですから、日本の中でもっとイノベーションの連鎖反応が起きるように、まずは九州を舞台に仕組みづくりをしていきたいと考えています。
人生何が起きても恐れることはないという漠然とした自信が持てるようになりました。一人でできることは限られますが、チームで動けば何だってできる。「一日一生」と考え、与えられた一日を人生最後の一日と思って必死で生きる覚悟ができました。大前先生は「やりたいことは先延ばしにするな」と言われ、大武先生は「夢と使命」を問われました。余計なことはするなと教わってきた私にとって、まさにこれまで教えられたことも、考えたこともなかった学びが得られたと思います。今後は自分の命を如何に使うか、常に考え、社会の問題を解決するために、立ち向かっていきたいと思います。
九州を東京や大阪に負けないくらいの巨大な観光地にしたいという想いがあるので、地域活性化に繋がる事業を九州の各地で成功させることが当面の目標ですね。日本の観光は高級温泉旅館1泊旅行が一般的ですが、世界では滞在型旅行(ディスティネーション・ツーリズム)が一般的です。逆説的ですが、温泉の無いところでもチャンスがあるわけで、自然の豊かさ、農業・林業・漁業等の第一次産業、食材のおいしさ・鮮度という部分を前面に打ち出して、人を呼べる仕組みを創ったら、面白いのではないかと考えています。目標の実現に向けて、まずは故郷・八女の2012年7月に起きた北部九州豪雨の災害復興支援から始めたいと思います。中でも山間地域の復興は大きく後れ、人が来る仕組みはほとんどありません。しかし、自然は美しく、激しい気温の差が、最高級の緑茶を育て、美しい星も見ることが出来る。地域に住む人たちとともに、人を呼ぶ仕組みづくりをしたいですね。
前例の通用しない時代をどう生きたらいいのか、悩んでいる人にぜひ入学してほしいと思います。BBT大学院があなたに与えてくれるのは、徹底した思考力の訓練です。経営戦略、マーケティング、組織論、ファイナンス等の学びを通し、人としての生き方を学びます。実践のフィールドは無数にある中から、あなた自身が自分で考え、選んでください。しっかり学んで実践し、一人でも多くの人が問題解決者としての道を歩むことを願っています。特に公務員の方、是非入学してほしいです。世界が広がりますし、行政に経営の概念が浸透すれば、予算の使い方や人の動かし方が全く変わります。一人でも多くの公務員がBBT大学院の門をたたき、経営センスを身につけるとともに、21世紀の公務員像として、ソーシャルプロデューサーの道を歩むことになれば嬉しい限りです。