入学前は、ソニーモバイルコミュニケーションズ(株)UX/UIデザイン部Tokyoチームを統括(課長職)していました。入学と同時にデザイン部門からの異動オファーがあり、悩んだ末に退職することにしました。2016年1月より個人事業主として開業し、友人・知人のデザインオフィスなどから紹介があったデザインプロジェクトにいくつか参画しました。卒業間近に、自分の経験やスキルセットの棚卸しの意味も込め就活をしていたところ、アクセンチュア(株)のデジタルデザイン部門からオファーをいただき、BBT大学院の学びを活かせる環境として転職をすることに至りました。
在職中、マネジメントとして、会社の経営課題や経営数値についてシェアされる機会が増えたのですが、全くの門外漢で本質的に何が起こっているのか理解できず、部下メンバーに会社の状況を自分の言葉で説明することができませんでした。経営層と話していても、視点の違いを感じていました。また、役職定年などの降格人事もある中で、自分のスキルをさらに高めて、何が起きても自分自身で道を選択できる状態にしておきたかったので、経営=世の中の仕組みを体系的に学べるMBA取得に挑戦しようと考えました。
MBA取得と言っても1歳の娘と夫がいる身で通学、ましてや海外MBAは不可能だったので、今の時代ネットで取得できる教育機関ぐらいあるだろう、と検索したのがきっかけです。BBT大学大学院の個別説明会に参加して、そこで競合大学院との違いを質問しました。「うちは理論ではなく、思いっきり実践に振れています。」という説明を聞いて、ここだ!と思い入学を即決しました。国内MBAの学位自体にはそもそも意味があまりないと思っていたので、とにかく現場で使える実践的なカリキュラムというところに魅力を感じました。
『新資本論』から始まり、経営について統合的に学びトレーニングする学長科目は、非常にキツかったです。とにかくRTOCSは毎週課題レポートがあり、その上に今起こっている経済、政治、国際ニュースについてのディスカッション、輪読会の課題と、量が多くかつ当然質も求められます。1年目の前期は学習ペースがつかめず、家族との時間にも影響が出て「やっていけるんだろうか?」と真っ暗な気持ちで勉強していました。最後までキツかったので克服したとは言い難いですが、自分のペースとスタイルを掴んでからは不安に思うことなく取り組めました。この課題がスラスラ苦もなく進められるのであれば、私はここにはいなくてもいいわけだし、とも半ば開き直って学習を進めました。
本質的な課題を発見するためのアプローチとフレームワークを基礎からじっくり学べたのがとても身になりました。1年次に教授が「問題発見思考はすべての業種、すべての仕事で応用できる」とおっしゃっていて、確かにその通りであると思いました。当時関わっていた、大手鉄道会社とのデザインプロジェクトでも問題発見思考のアプローチを即実践してみることができ、短期間で解決しなければならない課題とデザインソリューションに対して、チームの合意形成を図ることができました。2年次ではさらに突っ込み、解決策をどのように展開し、検証し、人を巻き込んでいくのか、ということが課題を通して学べました。これから、是非実践していきたいです。
いつでも自分のペースで自由に学習が進められる環境が最大の特徴だと思います。オンライン教育ということで、クラスメートとの交流についても心配していましたが、卒業した大学時代よりも濃密で高品質な学習時間を通し、多くのかけがえのない友人たちができました。多くの科目では、スクーリングがあり、教授陣から直接指導を受ける機会もありました。講義を聞くだけではなく、必ず自分の考えをまとめてディスカッションにアウトプットしなければならず、このインプットとアウトプットのトレーニングが非常に自分の力になっていると思います。
家族の理解と支えがなければ、到底2年で学位を収めることはできなかったと思います。学習スタートから半年くらいは、こちらもペースがつかめず、かつ夫も受講スタイルや学習スケジュール、負荷などがわかっておらず、お互いに不安と不満が溜まっていました。半年が過ぎ、1年次後期をスタートするところから、予定取得科目のスケジュール、試験期間などは全て夫とGoogleカレンダーで共有しました。また、何を勉強しているのかということも積極的に話しました。夫にも早めに仕事やプライベートの予定を共有してもらい、時間や曜日をやりくりしながら二人三脚、ちょっと夫の負荷高めで、家事や子育てを乗り越えました。
もともと数字が苦手で、億単位だと0がいくつあるのかもよくわからない状態でのスタートだったので、1年次の前半は、毎週のRTOCSでの財務分析は非常に時間が取られて苦労しました。1年次後半の『アカウンティング』、『コーポレイトファイナンス』は、みっちり時間をかけて取り組みました。これらの知識をしっかり定着させたいと思い、2年次前半には『M&Aと経営』にも挑戦しました。M&Aの最終課題を見たときに、これは初めて単位を落とすかもしれないと思いながらバリュエーション作業に没頭しました。真摯に取り組んだおかげで、これらの科目はすべてA評価でしたが、他の科目への時間が取られて並行受講がとても辛かったです。
在学中の2年間は、勉強中心に生活しており、フルタイム勤務ではなかったのですが、2年次前期は、個人事業主としてのプロジェクトと週3の嘱託契約のデザイン業務が重なって、忙しさの波にのまれそうになったことがあります。以前であれば、ワタワタしていたと思うのですが、どんなに忙しくとも、優先順位と段取りを冷静につけ、淡々と目の前のやるべきことに集中することができるようになりました。
当初は全く経営の知識もなく、果たしてMBA取得などできるのか?という不安もありましたし、デザイン業務という専門性からもMBAをとったところで、どのように業務に活かせるのか?という気持ちもありました。しかし、この2年間一つも単位を落とさずに、やりきれたことは自分の中でも大きな自信となっていますし、やはりデザイン課題を解決するにも根っこにある企業の経営課題の理解なくしては、本質的なソリューションには辿りつかないと考えます。「とにかく行動する」、「人の話を傾聴する」、「自分の頭で判断する」ということをすれば、幾つになっても、何にでも挑戦できるという強い気持ちを持つことができたのは、財産だと思います。
今後は、大手のコンサルティング会社に籍をおき、より大きなクライアントの課題に取り組むことができるようになりました。まさにBBT大学院での学びを生かして、ビジネスとデザインの越境領域で仕事ができることにワクワクしています。アクセンチュア デジタルのデザイン部門を組織としてもリードし組織力を高めつつ、一つでも多くのディスラプティブ=破壊的なデジタルソリューションを提案し、世の中をもっとよくしていきたいです。
本当に乗り越えるのはきついので、決して万人に勧めることはできませんが、それでも乗り越えた先には、必ず自分の成長を感じることができます。また志を共にした一生涯の友人の異業種ネットワークと様々なチャンスを得ることができます。もし現在、壁にぶち当たっていて、入学を迷っているのであれば、説明会に行く、先輩に聞くなど、まずは行動をしてみることをお勧めします。単科科目をいくつかとってから計画的に学位取得を試みるなど、いくつか選択肢もあります。じっくり検討して、ぜひ挑戦してみてください。