建材メーカーに新卒で入社して約20年、製造部門や営業部門を経験した後に新設された新規事業開発部門に異動になりました。未経験のジャンルの仕事に試行錯誤しながら、新規事業を探った結果、自らのアイデアとトップからの指示が合致し、B2CチャンネルとしてEC事業を担当することになりました。社内の主な売上はB2Bチャンネルからのものが主体ですが、今後の新たな収益源としてB2C事業を拡大することに挑戦をしています。
以前、会社派遣で某ビジネススクールに通ったことがあり、社外で異業種の方々と交わりながら学ぶことの意味、価値については実感をしていました。そのような背景の中、自身が携わっている新規事業であるネット販売の企画、運営について、現状認識及び今後の方向性を見出すために会計的な知識が必要である、と考えるようになりました。ネットで調べたところ、新規事業については会計のみならず総合的な経営知識を取得した方がより効果的と考えるように至りました。また40歳という年齢で新しい事にチャレンジしたい、という思いも同時にありました。
常に異動と転勤の可能性があるために、2年間1つのところに通う、という選択肢を持つことは初めからできませんでした。しかしBBT大学院の場合は、オンラインであるために時間と場所を選ばずに学ぶことが出来る、という事がわかりました。またオンラインということで孤独感などを感じるのではないか、という不安がありましたが、事前に大学院に相談したり、既に通っていた知人から話を聞いた結果、払拭することが出来たので、最終的に入学することにしました。
入社以来、部下や後輩を持ったことが無く、また単独で動く業務が多かったので、組織をマネジメントするという経験がありませんでした。従って組織系の科目は自身の経験と重ねて想像することが難しく、発言にも苦労した覚えがあります。しかし、とにかく自分が体験したケースを投稿し、議論の呼び水にすることで、クラスの経験豊かな仲間達から意見を頂くことで考えを深めるようにしました。また、自分がいずれ組織を設計する立場になったら、自分がリーダーになったら、と目線を上げて考えるようにしました。
学長科目のリアルタイムオンラインケーススタディ(RTOCS)を2年間続けたことで、大きな収穫を得ることができました。入学して間もない時期は、経営に関する基本的な知識が無い中での取り組みとなり、出てくる用語・概念はほとんど「???」状態でした。改めて振り返って気づきましたが、クラスのディスカッションで得たヒントや、自分で深堀りして調査したことを元に、他の科目を受講すると、RTOCSで調べたことと、それぞれの科目での学びが少しずつ有機的につながっていく感覚があったように思います。当事者意識をもって考える事を2年間ほぼ毎週できた事は大きな経験だと思います。また「輪読会」では、毎月特定のテーマについて議論をしますが、思考を深めたり、様々な事を調べる訓練も同時にできたと思います。そして毎週大前学長が世界のニュースを解説をする「大前研一LIVE」は目線を広め、高めて頂きました。
BBTで学ぶさまなざまな講義はもちろんですが、そのなかで繰り広げられるクラスメートとのディスカッション自体も、現実社会に根差した皆さんの体験談を元にされることが多いので、一つひとつの学びが全て有機的につながっていると思います。またオンライン大学院といえども、勉強会や飲み会など、実際に会うことも多く、リアルな結びつきも濃いものとなりました。経営学のみならず、「生き方」を学ぶことが出来ました。加えて、在学中にも昇進したり、転身していく仲間たちがおり、彼らの話を聞くことにより「自律して生きていくとはどういうことか」という点について、深く考えるようになりました。そのような仲間達との行った議論は一生の財産であり、彼らとはどうあれ一生付き合っていくのかな、と考えています。
在学中は週単位であらかじめ時間配分や科目への発言数などの計画を組み、レビューをしながら学習を進めました。具体的には専用のエクセルファイルを作成し、発言数管理、課題の締め切り、などを管理しながら、手帳に実際に使った時間などを記録していました。比較的自分の時間が取りやすい、早朝や通勤時間を有効に使いながら、週末は家族の理解を得て、土日それぞれ半日程度は学習に充てるようにしていました。遊ぶ時はあらかじめ計画を組み、そこの時間は割り切って遊ぶようにしていました。
働きながら学ぶためには、隙間時間の徹底活用が必要でした。朝30分早く起き、通勤時間(私の場合は40分程度)を活用すれば、そこで110分、2時間弱の時間を作ることが出来ます。そのほかにも移動中のちょっとした隙間時間なども考えると、意外に時間は作ることが出来ました。しかし、課題が重なってくると、どうしても睡眠時間を削らざるを得ない時も出てきてしまい、短い睡眠時間で1週間ほどしのがなければならない時が一番苦しかったように思います。
新規事業を進めるには、オペレーション、会計、組織、という目に見える部分と、マインド、ビジョン、文化という目には見えない部分両方の設計が必要です。これは起業にも通じる話かもしれません。と、書いたように、ゼロをイチにするにあたり、やらなければならないこと、優先順位、などをあらかじめ考えることが出来るようになりました。さらに、あらかじめ考えたことを形に変えていくためには、相手を説得して仲間を増やしていくことも必要ですが、企画を実現するためのコミュニケーションの技法を身につけることが出来たと思います。また、これはおまけでついてくるスキルだと思いますが、文字ベースで大量のコミュニケーションを行うために、メールの書き方が大幅に改善されました。相手に誤解を与えないよう、的確な文章作成の技術がつきました。加えてさまざまな資料を大量に作るためにエクセルやパワーポイントの能力も大幅に上昇したように感じています。
入学時は上述の通り、会計の知識を得ることができれば、と思っていましたが、結果的には自分が会社、社会とどのように関わって生きていくのか、ということを考えるようになりました。生きていく上で必要な広い視野と、基本的な視座を得ることが出来たと思っています。平たく言うと「人生観が変わった」ということですが、それは、何か印象的な大きな出来事があって変わったのではなく、BBTでの学び、知り合った様々な人たちの縁、そこで起こった様々な出来事の積み重ねの結果として、気づいたら変化をしていた、という感覚です。
BBTで学んだ結果として、自分が新たに得た職業観として、①世界の幸福の総量を上げる仕事をしたい。②グローバルな視点で考えたい、③常に自分が成長できる環境に身を置きたい、の3点があります。これらを実現できる事業に関わりたいと考えています。そのためにまずは、英語力の強化を短期的な目標にしています。
私はBBTで得たものは「共に研鑽できる仲間」「広く世界を見る視野、視座」「工夫する力」の3つです。少なくとも2年という時間で、様々な議論などを通じて得た関係性は何にも換え難いと考えています。結果的にMBAという資格を取得しましたが、MBAという目に見える価値ではなく、目に見えない一生の財産を得ることができました。そこに至るまでの道はそれなりに険しく、時には挫折しそうになることもあろうかとは思いますが、そこを潜り抜けるとあらたな自分の発見ができるかもしれません。私が入学を検討した時に、すでに通っていた知人に相談した時に言われた一言をご紹介します。「入学を迷う時点で、入学する価値があると思います。迷ったらとりあえず入りましょう!」もし今、私も誰かに同じことをご相談頂いたら、同じことを申し上げると思います。