SIerに勤めていた頃からシステム開発は好きで、プログラミングも積極的に行っておりました。一方で、社内SEという立場になってからは、ICTコンサルティングおよび戦略を検討することが多くなり、システムを開発目的以外の視点から検討することが多くなってきました。そこで、自身に足りないと感じていた経営の視点を得るためにMBAに挑戦することを決めました。その後は学んだことを随時アウトプットしていくためにより一層コンサルティングを中心に活動を行い、次第に自身での事業に挑戦したいと思うようになり、結果として独立起業に至りました。現在は、MBAでの学びと得意とするICTを活用し、将来の市場を見据えた自身の事業戦略に挑戦中です。
システムエンジニアとしてさまざまなシステム開発・導入・運用保守を行う中で、会社全体のICT戦略を検討する機会が増えるようになってきました。これまでITスキルばかりを磨いてきた自分にとって、そもそも戦略を練るというアプローチの仕方が分からず限界を感じていました。ICT戦略といっても明らかにITだけでは解決できない課題を感じており、組織の問題や市場の問題、会計上の問題など当時の自分にとっては限界であったと思います。これは何か体系的に学び直す必要があることを感じ、経営という分野に気づきました。ただ当時勤めていた企業内において経営について学ぶには立場的にも難しさを感じ、自身で学べる道を探したところMBAに行き着きました。
私自身はIT系の分野に強かったのでオンラインでの学習方法はすんなりと受け入れることができました。以前から身の回りの環境はITを駆使して効率化を行いたいと思っていたので、入学以前からオンラインの学習方法は今の時代では当たり前のように感じていました。むしろBBT大学院決めた大きな理由は、実学中心であり自分の頭でしっかり考える仕組みがあることに共感したからです。例えば、学びを深めるためのディスカッションはチャットやビデオ会議のようなリアルタイムでは行わず、スレッドに投稿してテーマを深堀りする形が取られています。これにより自分のタイミングで考えることができ、その場の空気や雰囲気に流されずしっかりと自分の頭で考えることができる仕組みになっています。このようにオンラインの利便性と学びの深さを兼ね備えていることを感じ入学を決意しました。
もともとシステムエンジニアである私にとって、MBAの各科目はすべてが初めての内容ばかりでした。もちろん業務上経験のある内容もいくつかありましたが、専門外のことばかりでとくに『会計』『採算性の評価』『M&A』などお金を活用する科目がとくに苦手であったと振り返ります。ただ、そもそもの目的が自身の限界突破であったため、得意な分野を伸ばそうと思っていなかったこともあり、全く初めての分野においても積極的に挑戦していったことが重要なポイントであったと思います。
まずは1年次に『マーケティング』を受講したことで、本当に世界が開けたような印象を受けたのを覚えています。私のように理系中心に進んできた方は同じような感覚を得るのではないかと思います。おそらく、日本の教育の中にマーケティングという考え方自体が殆ど無いといっていいのではないかと思います。これによりさまざまな市場という観点で自分の身の回りを分析することができ、例えば、社内にITツールを展開する場合でも社内市場という観点からアプローチできることを知りました。そして、2年次にあるイノベーションの発想方法からどのような状況でも突破する方法があることを体感できたことが最大の学びであったように思います。大きな心の支えにもなり、将来に向けて大きな原動力になったと振り返ります。
とにかくさまざまな分野の先生がいらっしゃることにまずは驚き、あらためてビジネスの多様性を感じたことを覚えています。AirSearchのライブラリの中には、知りたい分野の情報についてどなたかの先生がが必ず解説されていらっしゃいました。そして、全てを通して「要するにどういうことなのか」「その本質とは何か」を徹底して考えさせられる環境にあったように思います。上辺だけの理解ではなく、しっかり脳に汗を掻くことで、その先に本当の理解があることを経験できました。これは目の前の課題から逃げないという姿勢にも繋がり、結局はこれがビジネスの基本姿勢であると理解しています。
学長のお話の中に自分を変えるには「付き合う人を変える」「時間配分を変える」「場所を変える」というのがありますが、私がいわゆる3立(仕事・家族・学びのバランス)を実現するには、自分を変えることからでした。いくらオンラインで自分のタイミングで学習できるからといって24時間が変わるわけではなく、効率的な学習の実現が必須でした。このためには自分を変えるしか無いと思い、先に記述した人・時間・場所を変えていくことを実践しました。これにより、自ずと仕事・家族・学びのバランスが生まれてきました。私の場合、少しでも経営のことを考えるために自身の行動や発言も変えていき、結果的に周囲から最近言うことが変わってきたなどと言われるようになってしまいました。ただ、いずれも自身の限界突破を目的にしたMBAでしたので、この際思い切って自分を変えるつもりで取り組んだことが結果的なバランスを生んだように振り返ります。
私のようにシステムエンジニア出身者にとっては、例えば、会計やM&Aなどの分野はおそらく直接業務で経験したことがないので苦手な分野になるのではないかと思います。このような授業は、どうしても授業以外の内容を自分で学習していかないとついていけなくなると思います。このあたりが一番苦労しました。ただ、今から振り返るとこのような時こそクラスメイトと積極的にディスカッションすることで、むしろモチベーションの維持に繋がったことに気づきます。苦労している時こそ攻めていく姿勢が大事であることを振り返ります。
システム開発の仕事が中心でしたが、今ではコンサルティングの仕事も頂くようになりました。そして、独立起業することで自身の事業戦略へそのまま活かせることができていると思います。さらに、ニュースなどを見ていても本質は何なのかという点を常に考えるクセが付き、ビジネスの行動においても先手を打って動くことができているように思います。
MBAというビジネスが中心の学びではありましたが、BBTの学びの切り口はもっと大きな視点でした。人の知恵そのものであったり、人生そのものの考え方を教わりました。私の場合は、変化が大きく社会を見る目や考え方、それに伴う自身の行動様式、対人関係などあらゆることが変わりました。イノベーションということを自分自身が身を持って体験できたのではないかと思います。当初の目的である自身の限界突破は間違いなく達成したと自負しています。
私の卒業研究は新規事業についてでしたが、現在は実際にその事業を自身の会社で取り組んでいます。当面の目標はまずはこの事業をなんとか成功させることであると思っています。在学中に今日学んだことは明日すぐ使えと言われていましたが、まさにBBTで学んだことをフル活用して、新規事業に取り組んでまいりたいと思っています。
日常の業務や生活の中で、自分自身を限界突破するのはなかなか難しいと思います。習慣を変えたり、行動様式を変えたりとさまざまな努力があると思いますが、リカレント教育のように人生のどこかで学び直しの機会を設けることがもっとも効率がいいのではないかと思います。あえて非日常の学びを日常に組み込むことで、それが自分のものとなった際には、結果として日常化した状態となり、それはつまり自分自身が限界突破したということではないでしょうか。一度しか無い人生ですので、ぜひ自分自身の限界突破にチャレンジしてみていただければと思います。