製薬業界で、主に国際ビジネスを担当してきました。ライセンスビジネス、グローバルマーケティング、M&A、プロダクトポートフォリオマネジメントと、長く企画畑を歩んできましたが、昨年からCMC研究センターで管理部長として、人事、経理、IT、広報、総務等を、グローバルに幅広く管理・統括する役職に就いています。まさにMBAで学んだ学問の実践であり、非常にエキサイティングです。知識面での強化はもちろんですが、自分なりに理解し思い描いたオペレーションの理想形を追求すべく、日々奮闘努力を重ねています。
会社からの推薦が直接の動機ですが、本校には学長を含めて有名教授が多く、勉強になると思ったことと、自分の空いた時間を有効に使って勉強ができるシステムが決め手となりました。入学当時、既に本社部長職位にあったことから、特別なキャリアアップを目指したわけではありませんが、それまで自分が勉強を通して、また経験を通して培ってきた物を、理論的・体系的に整理しておきたいという気持ちも後押ししました。
自分の空いた時間を利用して学習ができるシステムが、最も惹かれたところでした。実際にやってみて、自分のスケジュールの合間を利用して、しかも遠隔地でも授業がうけられることは、平素仕事に追われる人達にとっては、その有り難味が身に染みてわかることでしょう。実際私は2年次はシカゴに赴任しましたが、全く問題なく全ての授業を終えることができました。
「問題発見思考」ですね。
私は元来問題の本質を見極める力が人よりあると思っていますし、実際これまでのキャリアでも、多くある鍵穴から正解のただひとつの鍵穴を、間違いなく見極めてきました。ただ、その中には、経験的法則や自身の判断力(感)に頼る部分も多々ありました。
この問題発見思考は、そのような私の得意部分を否定し、信頼性のあるデータを正しく分析し、ひとつの鍵穴を見つけ出すような学問で、鍵穴におおよその見当をつけて進める私には、極めて非効率なアプローチでした。
これを克服したのは、ネットワーク力だと思います。自分の専門性の高い話題には、積極的に情報を提供する一方で、不得意な分野では情報を受け取り、それを検証して理論的に鍵穴を模索していく方法は思ったよりも楽しく、自分になかった一面を与えてくれたように思えました。
マーケティング関連の科目でしょうか。私の専門性はマーケティングですが、企画業務が長かったこともあり、最新の理論にすっかり疎くなってしまっていました。久しぶりに勉強したことで、新しい理論も吸収できましたし、実践の場で裏打ちされた自分なりのマーケティング理論を教授の理論と戦わせることは何よりも楽しく、刺激になりました。
2年間で卒業するには相当の覚悟が必要だと思います。特にグローバリゼーション専攻の場合は、英語ができた上での講義となりますので、英語が苦手な人は、先ずは英語力に磨きをかけてから入学されることをお薦めします。自分の場合、睡眠時間は3時間程度になりましたが、体のリズムがそのようにできあがってしまうと、なんとかこなせるものです。
ただ、そういったタフなコースだけに、卒業した時にはなんとも言いようのない感動がありますし、今でもあのコースをこなしたこと自体が、自分の自信になったりもしています。
バランスは明確で、仕事が6割、学びが3割、家族は1割です。家族の理解がなければ、できないと思います。仕事は最優先です。これは大原則で、その上でいかに学びの時間を確保するかがポイントなのですが、その点からもインターネットでのオンライン講義が有効であったと思います。
学ぶ時間をいかに確保するかに尽きます。
仕事は役職が高くなると、極端にハードになります。仕事の完成度については、自分にもこだわりがありますし、またそのために給料をもらっているので、全く手の抜けない世界です。
その上で、睡眠時間を削って学習時間を確保していった努力が、私が誇れる部分だと思います。
現在は管理部を任されていますが、配下に人事、経理、IT、総務、広報、輸出入など、11の異なる機能があります。学問的に学んだものを、実際にビジネスの場で実践できていることが、そもそも素晴らしいことだと思います。さらにそれらをグローバルに展開することを、チャレンジ目標として掲げています。この仕事を引き受けたのも、MBAで学んだことを実践の場で試してみたかったからであり、グローバルへの展開もグローバリゼーション専攻した私にはぴったりで、まさに今学んだことが実践で活きています。
知識を与えてくれたのはもちろんですが、努力をすることの大切さを、仕事以外で教えてくれたと思います。仕事は努力をすることが当たり前であり、特に大切だとかいう意識はなかったのですが、2年間の大切な時間を通して、長い間仕事に追われて忘れかけていた感覚を、呼び覚ましてくれたように思います。
管理部での実践を通して、MBAで身に付けたものをより高いレベルに洗練していきたいです。また子会社の役員もさせていただいていて、取締役会の実態や期待される役割も勉強させていただいています。次は、小さな会社でもいいので、社長として会社の成長を従業員と共に喜べるような会社に育て上げてみたいと思います。
人生は一度。自分を信じてチャレンジされてみてはいかがでしょう。MBAという学位以上に身に付くものがきっとあると思います。苦しい中でこそ生まれる充実感や自信、みんなと切磋琢磨し合う中で培われる信頼感や尊敬の気持ち、自分を励まし支えてくれる人々への感謝、など、普段のあなたには見つけられない何かがきっと見つかると思います。思い切って飛び込んでみませんか。