現在、企業の中では経営層に近いところで仕事をしています。入社以来、経営企画や国際関係の仕事が多く、海外には英仏に合計9年程度駐在していました。基本的には攻める仕事に従事していた期間が長く、どちらかというと保守的な社風の中では苦労する場面は少なくありませんでした。現在の職種はどちらかというと企業防衛的な視点が必要となりますが、現場を下から支える支援部門としての役割を全うすべく日々考えながら行動しています。
MBA取得のきっかけは「自分が何も知らない」という漠然とした不安からでした。企業の中でポジションだけが上がり、それに中身が追いついておらず、このまま先に進めば周辺に多大な迷惑をかけてしまうのではないかという恐怖がありました。最初は単科生として『問題発見思考』を受講したのですが、これが非常に面白く有意義であったため、それに続く『問題解決思考』や受講可能な単科講座を次々に受けました。かなりの数の単位を取得したこともあり、経営を網羅的に学ぶために本科への入学を決断をしました。
経営関係の雑誌で大前学長が寄稿したものを頻繁に目にしており、物事の本質を突いた視点に何度も感銘を受けていました。自分の経営能力に漠然とした不安を抱えていた時期と重なり、色々調べるうちに大前学長が経営する経営大学院があるということを知り入学を意識しました。また、ビジネスで活かすことのできる実践的な講座が中心となっていることや、オンラインで学べることも知り、自分の環境にぴったり合致していたことも理由として挙げられます。
元々文系でしたが、大学受験では数学も選択していたこともあり、数字には強いという自負はありました。また企業では、経営企画のほか、販売促進チーム、経理、人事に所属しており、基礎的な職場経験があったことから、特に苦手と感じる科目はありませんでした。苦手と感じるとメンタルブロックがかかってしまいますが、BBT大学院での学びはどれもビジネスですぐに活用できるもので溢れており、「案ずるより産むが易し」ではありませんが、前向きに学ぶことが出来れば苦手意識は無くなるのではないかと考えています。また、全ての科目に大きなメッセージが含まれており、それを意識して学ぶことで必ず新しい気付きがありました。
どの科目も有意義でありいくつも選びたいのですが、特に学長科目で毎週出題されるRTOCS(リアルタイム・オンライン・ケーススタディー)では、自分が対象企業の社長の立場に立ってどのように課題を解決するのかを学ぶものであり、現在起こっていることを前提として考えるため非常に実践的でした。問題解決に必要不可欠な3C(市場、自社、競合)の考え方や、複数の有効な選択肢の中から自分の判断軸に基づいて最も効果的な打ち手を実行していくという思考方法は、各科目で学んだ知識やスキルを総動員して取り組む必要があり、時間管理も含めて最もためになった科目でした。
学び舎というと、教授が教えてくれるというように思いがちですが、BBT大学院では自ら学ぶという姿勢が必須です。特にクラスメートとのエアキャンパス(AC:自分の考えを投稿するプラットフォーム)を使って切磋琢磨して学んでいく際には自分の考えをしっかり述べる必要があります。会社では「誰が発言したのか」が大きな比重を占めることもありますが、ACでは「何を発言したのか」が最も重要であり、本質的な議論が交わされることになります。受身の学びにならないためにもACは非常に効果的だと考えます。また、決まった時間に講義を受講したり発言したりする必要はなく、自分のペースに合わせた学習が可能となるところも忙しいビジネスパーソンにとっては有難いことです。しかしながら、ACは24時間稼動しているため、油断していると大変な状況に陥ることもあり、計画的に勉強を進めないと授業についていくことは難しいかもしれません。
ビジネスパーソンである以上、仕事の手を抜くことだけはしてはならないと肝に銘じていました。よって、勉強時間は出勤前、昼休み、退勤後となります。自分ではまず1週間のうち、仕事と家庭で必要となる部分以外で勉強が可能な時間をあらかじめ予定表でブロックしておき、それを可能な限り曲げないというやり方をしていました。結果的には家族に大きな負担をかけてしまったと反省していますが、家族は自分の頑張っている姿を見て最大の支援者となってくれました。また、子供にも父親が常時勉強している背中を見せられたことは学ぶことの大切さを身をもって伝えられたと考えています。しかしながら特に妻は、内心には大きな葛藤があったと考えられ、時には勉強を脇に置いて家族との時間に充てる勇気も必要だと思います。時間管理は最も大切な項目のひとつであり、勇気と責任を持って決めていくという姿勢はビジネスでも必ず活かされると思います。
最も苦労した点は時間の管理です。1週間に30時間以上継続的に勉強する必要があり、これは仕事・家族との時間以外に捻出しなければなりません。講義を2倍速で聴いたり、ウォーキングしながら視聴するなど、時間を捻出するための工夫は必要となります。それでも十分な時間を捻出できるわけではなく、会社の出勤日、休日に関わらず常に4時半には起床し勉強時間を確保していたため、実質的には慢性的な寝不足の状態となっていました。しかしながら、こうした苦労を経験したことで、今後立ち向かうタスクに対しても自信を持って取り組むことができるマインドが形成され、決して無駄になる苦労ではないと確信しています。
元々新しいことを始めるのが好きであり、皆がわかっていても手をつけていない課題にチャレンジする機会は多くありました。
しかしながら、それらが上手くハンドリングできていないこともあり、細かい部分で何かが不足していたことを痛感していました。BBT大学院に入学して半年後ぐらいに、大きなプロジェクトを立ち上げ、人材の確保や内部の資金調達などを行った際に、これまでの取り組みとは明らかに異なる雰囲気の中で進めることができ、自分にとっては全く新しい分野であったにも関わらず、多くの関係者から賛同を得られたことを経験しました。この違いは、本質的な課題を抽出したことと、関係者の心に自分の思いが届いたことだと考えています。ミッション、パッション、アクションが重なり自分でも成長を実感できた瞬間でした。
同期生は70人弱が入学し、そのうち2年での卒業は5割を切っています。2年で卒業するがどうかは個々人の計画や事情があるため、これ自体は問題ではありませんが、少なくともこの実績は如何にBBT大学院の卒業が難しいのかということを物語っています。今は卒業したばかりですが、やり切ったという充実感とともに、この厳しいカリキュラムを乗り越えたことはビジネスパーソンとして大きな自信につながります。入学当初に抱いていた自分が経営について知らないことが多いという不安が完全に払拭されたわけではありませんが、難題にも何とかかじりついて打ち手を見つけることのできる自信は付きました。また、一緒に「内なる自分」と戦ったクラスメートは戦友であり、一生付き合える仲間を得たことは最も大きな変化です。
学業を続けていく中で、自社を客観的に見られるようになりました。入学前は自社の悪いところばかり目についていましたが、BBT大学院での学びを深めるうちに自社の魅力やポテンシャルを新たに見出すことができました。人事は時の運みたいなところもありますが、今では経営層と並んで仕事をしても何とかなるという自信も芽生えてきており、暫くはこのまま社内でブレークスルーを創出し続けようと考えています。またBBT大学院では人生二毛作という可能性があることに気付かされ、自分で作成した卒業研究のビジネスに、将来のどこかの時点で取り組んで行きたいと考えています。
身に付けた実践的なビジネススキルを最大限に活用し、企業の中で問題解決者=プロブレムソルバーに成りたければ、断然お勧めします。アカデミックな理論も必要ですが、MBAは国家資格とは異なり、実践で活用してはじめて効果を発揮するものであるため、実践的な学びのBBT大学院はより効果的であると考えます。また、入学後の学びは決して楽ではありませんが、知識や実践的なスキル、時間管理術、判断力などのビジネスで不可欠なスキルは間違いなく高まりますので苦労した分確実に血となり肉となります。迷っているのであれば飛び込んだほうが良いです。また、私自身がそうでしたが、単科制度が利用できるので、迷っている方はまずは単科で体験してから本科に入学するという選択肢もあります。