バブル世代として入社以来、支社・支店・現場への幾度の転勤(家族帯同の転居・単身赴任)を経ましたが、一貫して会社組織の総務部門に勤務し、これ以外の職務経験(営業・マーケティング・経営企画等々)の無いまま、今春で入社29年目を迎えました。
以下の3つの理由が相乗して、MBA取得を志しました。
1. 能力を高め、知識を増やしたい。
ビジネス基本スキルである「構想力・論理思考力・問題解決力等」と、ビジネス上の大局観を持つための「必要な幅広い知識」の両方に脆弱性を感じており、総合的な学習による脆弱性克服は急務と考えた。
2. 上記1の高めた能力と増やした知識で、会社の業績向上に寄与したい。
MBAは如何なる場面・状況においても有効なビジネススキルを養成する内容であり、今後どのような職務を担当しても、会社業績向上に寄与できる能力・知識を得ることができるものと期待した。
3. 会社の業績向上とともにCSR活動の内容・規模を拡大し、その業務に自ら携わりたい。
「CSR活動が企業の社会的存在価値を高め、会社の持続可能性を高める良いサイクル」創りに役立つ能力と知識を得たいと考えた。
BBT大学院入学にあたり、以下のような魅力を感じました。
1.同級生は世界・日本全国にお住いで、通学が必要な他大学院より多様性(ダイバーシティ)があり、かつ、仲良しクラブ的な悪弊は無い。
2.PC・スマホを利用した遠隔授業の為、通学不要で(通学時間が無い)、かつ地方在住者でも学習が可能で、転勤・転居による休学・退学リスクが無い。(サスティナビリティが高い。)
3.志の高い素晴らしい同級生が多数存在し、大いに良い刺激を得ることが出来る。
営業・マーケティング・経営企画部門は全く業務経験が無く、マーケティング・経済理論・経営戦略関連講義は初めて学習する分野、かつ、ほとんど事前の自己啓発も行っていない分野であり、多くの努力を要するものと推測していましたが、全くその通りとなりました。ロジカルシンキング(1年次『問題発見思考』)はある程度対応できると楽観的に想像していましたが、結果は散々でありました。(試験は最低評価で何とか通過しました。)上記の4科目は運よく落とすことは有りませんでしたが、これらの科目の延長・関連科目である2年次の『現代の経営戦略』・『イノベーション』・『問題解決思考』では学習時間を1年次の1.5倍から2倍に増やして地道な努力を継続して対応しました。
必修科目である学長講義のうち『経営戦略論』・『新資本論』・『現代の経営戦略』にある毎週のRTOCS(Real Time Online Case Study=企業や国・自治体の事業戦略を1週間という短い時間で結論を出すという課題)を挙げます。このRTOCSはBBT大学院で最も有名(名物?)な課題であると同時に、自身にとっては最も困難な課題であり、難易度が相当に高いものでありました。諦めずに毎回例外なく脳から汗(冷や汗・脂汗)を出して何とか学習を継続することで、費やした時間の量が、FACT収集力・ロジック構築力の向上、知識の拡大等のビジネススキルの質に転換していくことを感じることができました。
自身がBBT大学院に進学する理由であった「ダイバーシティ・通学不要・志の高い素晴らしい同級生の存在」は、全て期待通りでありました。この内、実際に大学院教育を受けてみて、今すぐにでもビジネスに役立つ教育内容(実学・実務教育)と、流石に社会人対象の大学院だけあってレベルの高い同級生の存在が、最も刺激的かつ新鮮でした。明日そのまま実務に活かせる教育内容と必修科目と選択科目を組み合わせて総合的・体系的に実学を学べるBBT大学院の教育システムを、レベルの高い同級生と共に学べる場を得られたことを大変うれしく思います(決して楽ではありませんでしたが)。
学びを優先するあまりに仕事と家庭を蔑ろにすることは本末転倒であるため、効率の良い学習・無駄の無い時間管理を目指しました。年齢的な事情から2年で卒業することも重大目標の一つであったが為に、帰宅後はもちろん、通勤等の移動時間・昼休み等の細切れ時間を無駄なく利用しましたが、尚、学習時間が足りず、余暇・睡眠を減らさざるを得ませんでした。これでは体力・精神の両面で続かないと思い、効率の良い学習と思われる方法(ある講義で学んだ知識・考え方を別講義で応用する・マンネリ感を防ぐ為に複数分野の講義をあえて同時並行的に学習する、家族にRTOCSを相談してみる等)を試してみました。特に「家族にRTOCSを相談してみる」は大成功で、消費者やユーザーとしての視点から意見・不満を収集することが出来て、大いに助かりました。また、RTOCSの結論を家族に毎週提出して自身の学習にも理解を得ることもできました。
卒業研究は社会問題解決論文を選択しましたが、社会問題を解決するようなことを漠然と考えることはあっても論文にするようなことは一切経験が無く、全てが暗中模索・五里霧中といった状況で進めていきました。何度も立ち往生しながらも、担当教授からの有り難いアドバイスと、諦めないで継続した一次情報収集とその分析等から結論の方向性を見出し、なんとか完成・提出しました。しかし、他の科目と違い、自身の卒業研究のレベルを自身で測ることが出来ずに不安が先行し、大きなストレスとなりました。また、タイミングの悪いことに2年次の後半から1月末の卒業研究提出締め切りまで、仕事がこれまでに無い程に忙しくなり、卒業研究も仕事もギリギリまで追い詰められるような状況となって体調を崩し、一度だけですが会社を早退しました。大事には至りませんでしたが、在学した2年間でもっともつらい状況でありました。
MBAの漠然としたイメージとして、マーケティング・経済理論・経営戦略関連分野を代表的な講義分野であると思ってしまっていましたが、企業も人が組織し構築しているものであり、リーダーシップ論・組織論・ビジネスエシックス論等の講義分野は企業のサステナビリティを高めるためにも大変重要であると再認識できました。近年の企業・組織における不祥事には、経営トップの無責任・悪しき社風・倫理観の欠如を原因とする「人災」と言うべきものが多発しており、BBTの講義にはこれらを抑止・防止するノウハウ、並びに、仮に不祥事が発生してしまった場合の対処の方法を実践的に学べる為、総務畑の自身にとっても大変有意義でありました。
BBT大学院のMBAカリキュラムは、経済や経営の視点だけでなく、技術・国際関係・政治・歴史・文化等の幅広い視点から、加速して変化していく「世界」を理解することを求められます。このため、自身の入学前の「国内経済・自身の属する業種中心の狭い考え方・視野」から、「グローバル経済・他業種への理解のみならず、上述した国際関係・政治・歴史・文化等の幅広い視点」から、問題を捉えるようになりました。特に、日本の危機的なプライマリーバランスへの対応・対策には、国民の一人として看過できないものと問題意識を持つまでになりました。
危機的なプライマリーバランスに陥って久しく、既に臨界点に達しようとしている日本財政の復活を期すためには、大前学長の説かれる「道州制」が必須であるものと本学のMBAカリキュラムを通じて理解しました。現世代の人間として、この「道州制」の為に何らかの形で役に立ち、次世代へ責任をもって引き継ぐことが出来たらと考えています。これに、これまでのBBT大学院での学習を大いに応用・活用できるものと期待しています。
学習や試験となると、いわゆる「暗記」をいい歳してできるのであろうかと不安になる方もおられるかと思います。しかし、安心してください。BBT大学院の各科目試験は殆どが小論文試験であり、暗記は不要です(小論文においてはもちろん盗用・剽窃等は禁止です)。この為、自身は学習した2年間で一切「暗記」をすることなく卒業しました。暗記は不要であっても、小論文におけるロジック構築・FACT収集は必須であり、「暗記」とは別種の困難が待ち構えていますが、これも学習の過程において十分に鍛錬されますので、ご安心ください。