「マル型思考」とは?「サンカク型思考」とは?
私たちは仕事上、様々な課題に対して意識せずとも情報収集や整理を通じて解決策を見出し、そして実行しています。でも、うまく解決できると思っていた施策でも「イマイチ良い結果がでない」「しっくりこない」などと感じることがあるかもしれません。
私は以前、最適な課題解決の方法を求めて悩んでいました。これだけしっかり考えたのになぜ?と思うことが多かったのです。当時、自分なりのロジックをもって考えれば良い答えにたどり着くものと思い込んでいましたが、問題解決には「思考の幅を広げる」ための技術が本来的に求められます。それに対して私は、例えるなら「一問一答」のように、問題が生じると一つ道筋や一つの答えに固執してしまっていたのです。これを個人的には「マル型思考」と振り返っています。
各論(限定された特定範囲)での答えを見つけ出すことが、この思考の特徴です。すなわち、発生している問題ないしは現象そのものに注目し、それ自体に対する解決策を考案・実行するいったプロセスです。現象に関する情報を集め、分析し、各論的な解決策を見つけ出して終了… あまり効果がなければまた考え直す… といったサイクルをグルグル回して行くイメージです。この「マル型思考」の非効率性に気がついたのは、BBT 大学院に入学してすぐのことでした。
私の思考の型を劇的に変えたのが、階層で物事を考える「サンカク型思考」です。BBTでは帰納的な考え方として、すべての受講生が体系的に学ぶことができます。これは下図のように、まず第1階層目で、問題に関連するであろう様々な事実の洗い出しを行い、複数の事実から言えることは何なのかを考えます。「要はどういうこと?」を洗い出していくイメージです。
次に第2階層では、第1階層の事実を元に要約した内容を、さらに「要はどういうこと」と繰り返し分析していきます。こうやってどんどん確信に迫っていくことができ、最終的に第3階層で「本質的問題」に至るというプロセスです。そもそも発生している問題の「根っこ」を考えることにフォーカスするのが、先述のマル型思考との違いです。根っこを押さえて、その根っこに対する施策を打った方が遥かに効率的ですよね。
「サンカク型思考」を当社の「野菜ジュース」開発事例に当てはめる
実際に私がサンカク型思考を活用した事例として、ごく簡単に「3C分析」のフレームワークを用いてお伝えします。近年、広報はその従来業務のみならず具体的な売上貢献も求められてきています。そのような中で、広報にいながらも、他部署に情報提供を行ったり商品開発の方向性のアイディアを提供したりする機会が増えてきました。
そこで、当社の「野菜ジュース」の新商品をどの方向性で考えていけば良いか、商品開発部に提案した際の資料を使って一部紹介いたします。 ※内部情報のため内容は変えています
前述のとおり「マル型思考」で考えると「表面的な現象」にフォーカスしてしまいます。そうなると、仮に結論自体が間違っていないとしても、他社も含めすでに誰かが検討しているものであったり、自社の商品構成のバランスが悪くなったりしてしまいます。
この「サンカク型思考」を取り入れてからは、物事をすべて客観的に捉えるクセが身につきました。その結果、自分の「型」として瞬間的に頭の中でフレームを形作る事ができるようになっています。
日常業務の小さなテーマでも、大きな戦略を立てるときでも基本は一緒です。この「サンカク型思考」を意識するだけで、より本質的な問題に近づき、的確な課題設定を行えるようになると思います。