現地企業のPresident/COOとしてやり通す自信がありました
私がBBT大学院を卒業するころ、海外でチャレンジできる環境を探していました。そこで、ちょうどその時期にセゾン情報システムズがシリコンバレーで新会社の立ち上げメンバーを募集しており、早速エントリーしたのです。リクルーティングの過程で当時の面接官であり後に上司となる現セゾン情報システムズ代表取締役社長の内田和弘と出会い、当人から「立ち上げメンバーとして現地に行ってくれないか」とオファーをもらったときは、絶好のチャンスだと思いました。
グローバル企業である前職において新規事業開発に携わっており、そしてBBT大学院で2年間かけて実践的なトレーニングを積んできましたので、責務を担うできる自信はありました。そもそもBBT大学院での学びがなければオファーもされなかったと思いますし、チャレンジしようとも思わなかったかもしれません(笑)。
BBT大学院で学ぶ前は、自分の考えをベースに体当たりで試行錯誤しながらやっていました。何人もの部下がいましたが、マネジメント上、抜け漏れが生じたり的確な指示が出せなかったり… また徹夜の日々が続くことも珍しくなく、部下には相当迷惑をかけていました。ひたすら時間ばかり使い、生産性を上げられない自分をどうにかしなくてはと考えた結果、私に足りないものは大きく3つだとわかったのです。「全体俯瞰の視点」、「論理的思考」、「フレームワーク・スキル」です。
これらを補完するために、結果として私が選んだのがBBT大学院でした。理論のアカデミックな学びよりは、今この現場、そしてこの環境で結果を出すための方法を学びたかったのです。結論から言うと、私が足りないものはすべてこの大学院から学べました。
学位授与式(修了式)、大前研一学長と一緒に
例えば企画を一つ進めるにも、十分な情報収集や分析、解決策の提示を以前よりも抜けもれなく考え、実行することができるようになったと思います。また論理的な展開ができるようになったことで、部下とのコミュニケーションも円滑になりました。具体的な指示が出せるようになるに連れ、部下から上がってくるデータや資料の精度も増してきました。
そもそも昔の自分は狭い視野に捕らわれており、社会通念や常識といったものに疑問を持つことさえありませんでした。しかし、世の中には常にビジネスチャンスがあり、それをどう掴むかは自分の考え方次第だということをBBT大学院で痛感させられましたね。世の中で常識とされているものにこそ疑問を抱き、“本質はなんぞや”と考え抜き、解決策を見出していく「考える癖」が身についたことで、私は劇的に変化したと感じています。
この「考える癖」は、私が今いる環境では必須事項です。問題に直面すれば、それに対して一つひとつ個別に解を出していかなければなりません。これらを無手勝流に行っていては時間がいくらあっても足りません。しかし今は、客観的かつ全体俯瞰で物事を考えるようになり、ビジネスプランの策定、そしてプランの実行をより効率的に行えるようになったと思っています。
人そのものをしっかり見ることでダイバーシティは推進される
ここまでBBT大学院で学べたことをお伝えしましたが、各科目のすべてが私にとって実践でした。考え方をすぐに仕事に活用でき、自分なりの試行錯誤を経て工夫を加えることで、得た知見はさらに洗練されていったことを覚えています。特に、これだけ私が劇的に変われたのは一緒に学ぶ仲間の存在が大きかったです。
オンラインMBAということもあり、同期にはラオスや中国、ドイツなどに赴任しているクラスメイトがいました。そんな海外の仲間たちと各国の個別事情を含めた形でディスカッションができたことは、非常に有意義でした。もちろん日本国内でも様々な業種や立場の仲間がいましたが、いずれにせよ価値観や立場の違いがある中でのコミュニケーションは、みんなが納得できる「論理的な展開」こそ重要です。
よって各論でどれが正しく、どれが間違いということではなく、そもそも目的は何か?全体最適されているか?といった視点をもつ必要があります。それらを踏まえた上で、自分だったらどうするか?各々が独自のソリューションを見つけ出していくのが面白かったですね。
また入学当初は自分だけの価値観をベースに議論展開していた人たちも、ダイバーシティに富んだ環境でディスカッションを重ねることによって、徐々に建設性や受容性が増していく過程を目の当たりにできました。私自身たいへんな気づきがありましたね。この変化や在り方を、企業や社会においても推進できれば良いと思っています。それにあたり、たとえば「日本人だから」「アメリカ人だから」と括るよりは、「その人そのもの」をしっかり見ることが大事なんだと考えます。
チームメンバーとの懇親
迷ったら、まずはチャレンジを
私の当面の目標は、北米市場拡大のための戦略を策定することです。そのために北米市場で当社のプレゼンスを上げ、お客様に当社の製品の付加価値を理解してもらうことが必要です。現在、「HULFT, Inc.」の製品は、世界2位にまでシェアを広げていますが、内訳は日本やアジア市場がほとんどです。1位を取るためには、どうしても北米市場を開拓しなければなれません。
IT大国である北米市場の中で、ブランドのない日本のIT企業が戦っていくのは、並大抵の戦略では太刀打ち出来ないと思っています。IT分野において日本の製品やサービスが世界トップシェアを取った事例は、私の知る限りありません。成功事例がない、前例がない中でのチャレンジをしているのです。ITといえば北米という既成概念を壊し、日本企業初の偉業を成し遂げられたらと思っています。
私は何事もチャレンジが大切だと思っています。常に課題にぶつかってはそれを乗り越えていく力が、仕事や学び、プライベートでも共通して必要です。そのため迷ったら、立ち止まらずにチャレンジするという選択を取ることを心がけています。一歩踏み出せば課題は明確になり、解決に向けてかえって頭はさえてきます。そして気づくと結果はついてくるようになりました。
もちろん不安や恐怖はありますよ。しかしチャレンジせずに現状維持や無難な選択をしていても停滞はおろか衰退するだけだと考えます。人生は長くも短いです。どうせならチャレンジを続ける生き方を私は選択したいです。