経営において組織/人事の領域は当然重要であり、MBAプログラムでは「ヒト系」としてそれらの学びに触れる機会がたくさんあります。なお人事領域においては毎年バズワードが生まれ、トレンドが出現しては消えていくような状況です。そのような中でMBAでは普遍的かつグローバルスタンダードな内容を体系的に学ぶことができるため、とても有意義だったと振り返ります。
また前述したようなクラスメイトとのオンラインディスカッションを通じて、ビジネスパーソンとしての考え方や価値観、ポリシーなどを徐々に構築することができました。変化が激しい環境においても本質を捉え意見を発信できるようになったと自負しています。
RTOCSに繰り返し取り組み問題解決の引き出しを増やすことで、情報収集の段階から同時に問題解決策を考えることができるようになりました。初期仮説としての解決アプローチは必ずしも正解ではないにせよ、相手に何らかの取っ掛かりや気付きを与えることに繋がります。最初にそのような状態をつくることで、その後のプロセスがスムーズに運びやすくなると実感しています。
前述した毎週のRTOCSでは対象企業の本質的な問題を見極める努力が求められますが、それにあたり有価証券報告書をはじめ様々なインターネット上の情報をデスクリサーチしていきます。その過程で、結果的に当該企業そのものの情報から市場/競合における情報までを広く収集することができ、さらにそれらをかけ合わせて考えることで少しずつ企業の抱えている本質的な問題が見えてきます。RTOCSで繰り返したこのアプローチが血肉化されることで、実業における問題発見や課題設定にも応用できるようになっていきました。表面上の対処療法よりも根本治療のアプローチを指向する方が周囲の理解も得られやすい実感がありますし、問題解決を進めやすくなったと感じることも多くなりました。
組織人材面では、メンバーのかかわり方において個々のキャラクターやタレント性を重視し、価値創造を発揮してもらいやすい風土づくりを意識しています。予算管理や事業計画の財務シミュレーションでは、得た知識をしっかり活用できています。戦略についても、多くの情報を集め、自社のアセットと競合の動向を含め方向性出しを行う思考アプローチが新規事業検討に役立っています。また卒業研究で取り組んだ内容は、会社の中で実際に事業化に向けて実証を行う予定でいます。
BBT入学の目的はMBA取得ではなく、自ら事業を起こすことでした。2022年春の入学時のエッセイで掲げていたテーマを2024年春の卒業研究プレゼンで形にしましたが、それですぐに実践できるほど社会は甘くありません。今も事業の具体化に向けて継続的に活動しています。
BBTに入学する前であっても考えることを決して苦手としていたわけではないのですが、BBTで様々な思考法や視点を広げる訓練をすることで、自身の思考力を大幅に強化することができました。
従来だとどうしても、ある立ち位置、ある粒度でしか見れずに思考が偏りがちだったのですが、自分を俯瞰して見たり、相手の立場に立って考えてみたり、より詳細に細かく考えてみたりできるようになったことで、多面的に物事を捉えられるようになったと思います。
これによって、例えば上司と話すときやメンバーと話すときであっても、話の懐を広く取って合意形成をしやすくなりますし、初対面の人と話すときでも話題を外さずに臆することなく話せるようになりました。どのような業務に取り組むときでも必要となる、基礎的なポータブルスキルを大幅に引き上げられたと感じています。
普段仕事をしていると、多かれ少なかれ問題は発生します。BBT大学院入学前まではそれらの問題に対して、ただ単に愚痴や不平不満を述べていただけだったと思います。しかしBBT大学院で問題発見や問題解決に対する体系的なアプローチを学べたお陰で、同様の事象を目の前にしても常に本質を押さえた再現性ある思考が出来るようになりました。また「自分ならどうするか?」という意見を論理だてて述べられるようになったり、自分の権限を用いて実際に取り組みを行えるようになったりしました。
たとえば日々のディスカッションのお陰でドキュメンテーションスキルが向上しました。メールを書くだけでも、論理構成が整っているか、ファクトが添えられているか、簡潔であるか、など決まって考えるようになりました。また土地勘のない案件であったとしても、情報を的確に収集したり課題解決の切り口を見つけたりするのが格段に上手くなりました。
まさに「答えを自らつくれるようになりたい」という入学時の目的を達成する事ができたと振り返っています。
前述したRTOCSを通じて獲得した分析手法は、もちろん自社においても十二分に活かせています。何度も実践することでテクニックの質が上がったことを実感しています。
とりわけ分析の切り口や着眼点は事業上とても重要だと思っており、自らの実践以外にメンバー全体へのレクチャー/フィードバックも行っています。くわえて、例えばイノベーションの講義で学んだ発想フレームワークなども社内研修で取り扱っています。会社全体のスキルセットの底上げに寄与できていると感じていますね。
また、戦略的人材マネジメントの講義で学んだ「満足と幸福の違い」に関するトピックは私にとって非常に示唆的であり、企業経営をする上で常に意識するようになりました。
BBTでの学びを通じて経営のやり方(How)だけでなく、経営の在り方(Being)も磨かれている実感があります。むしろ後者の方が学びの価値として大きいです。
BBTで鍛えられた思考力や問題解決力は、在学中から日々の業務で活かせています。特に「自分だったらどうするか?」という観点に立ち、経営者視点を切り口に論理的に物事を考えるという癖が染み付きましたので、入学前と後では明確に世界が違って見えるようになりました。視点を変えたアイデアや推進方法などを提言しながら相手の気づきと発想を刺激し、自組織の新事業創生に向けて邁進できています。